矯正というワードで調べていくと、マウスピース矯正などといっしょにセラミック矯正というものが見つかります。
さらに調べてみると、失敗や後悔というワードが検索候補に出てくることがあります。
このセラミック矯正とは何なのでしょうか?
失敗や後悔をしないようにすることはできるのでしょうか?
この記事ではセラミック矯正について、セラミック矯正で失敗しないための基礎知識を解説します。
この記事を読むことで、セラミック矯正のさわりについて理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
- セラミック矯正とは?
- セラミック矯正のメリットは?
- セラミック矯正は危険って本当?
- セラミック矯正で失敗しないためには?
目次
セラミック矯正とは
実はセラミック矯正という言葉は定義されたものがなく、教科書にも載っていません。
セラミックを用いた補綴物によって歯の並びの見た目や形、色をきれいに整えることをセラミック矯正と呼ぶことが多いです。
そのため、まったく同じことをしていても歯科医師や医院によっては、別の呼び方をすることもあります。
歯列矯正との違い
同じ「矯正」という言葉がついていますが、セラミック矯正は歯科の分野でいえば補綴(被せものによる治療)であり、歯列矯正とは異なります。
歯列矯正は歯を歯根ごと動かして審美的、機能的に並べかえるものですが、セラミック矯正では歯根を動かせないため、その点が最も大きな違いです。
セラミック矯正をする上での注意点
セラミック矯正を受ける際の注意点を事前にしっかりと確認しておきましょう。
神経を取る可能性がある
セラミック矯正では、セラミッククラウンなどによって歯軸(歯の傾きの方向)を変えることがあります。例えば、出っ歯を引っ込めたいという場合、歯軸を大きく変えるためには歯の神経に穴があくまで削らないといけないことがあります。
このようなとき、治療の途中で便宜抜髓(意図的に歯の神経を取ること)をする可能性があります。
やり直しが難しい場合がある
セラミック矯正は歯を削るため、元の状態に戻すということが不可能です。
また、歯を削れる量や回数には限界があり、いつでも何回でも新しいものに交換できるわけではありません。
虫歯ができてしまったときや歯周病が進行したときには、状態によってはやり直しが不可能なこともあります。
セラミック矯正が適するケース
デメリットばかりが目立つように思いますが、セラミック矯正が適応となるケースもあります。
変色歯や矮小歯がある
セラミック矯正は歯の色や形を変えられるため、変色歯や矮小歯などの色や形に問題を抱えているときには有効な手段となります。
特に失活や薬剤性の変色といった、ホワイトニングで対応できない歯の色調の変更には非常に向きます。
軽度の叢生や捻転
セラミック矯正を行っても仕上がりが不自然にならず、その後のプラークコントロールに特に問題にならない程度の叢生や捻転の場合は、セラミック矯正をすることで早く治療を終了することができます。
この場合、部分矯正などと比較検討することにもなります。
セラミック矯正が適さないケース
セラミック矯正が不適応となるケースも確認しておきましょう。
歯周病のコントロールが悪い
セラミック矯正は治療のジャンルとしては補綴に分類されるため、長期的にみての成功を考えると歯周病がない、または制御されていることが重要になります。プラークコントロールが悪くて歯肉に慢性的に炎症が起きていたり、歯肉から膿が出ている状態では長持ちさせられないリスクが高まります。
セラミック矯正の失敗は抜歯につながるため、歯周病のコントロールは治療前だけでなく治療後にも大事です。
著しい叢生
歯と歯が互いに3分の1以上重なっている、1本だけ歯列からはみ出した歯があるといった場合にはセラミック矯正は非常に難しくなります。
クラウンを作るだけであれば不可能ではありませんが、審美的に清掃性を確保してとなるとスペース不足は深刻な問題になります。
無理に行うとプラークコントロールの悪化を招き、歯の寿命を縮めてしまう可能性があるため、慎重な判断が必要です。
骨格性の不正咬合
上顎骨や下顎骨のサイズや形が原因の不正咬合(出っ歯、受け口など)はセラミック矯正の適応外となることがあります。
程度により全く不可能というわけではありませんが、歯軸の大きな変更を伴うため便宜抜髓をすることが多くなります。それでも理想とする仕上がりにはできなかったり、長持ちさせられないリスクが高くなるため、おすすめできないことが多いです。
セラミック矯正で気をつけたいこと
短期間できれいな歯にできるセラミック矯正ですが、ひとたび治療が始まると後戻りできないため、始める前に気をつけておきたいポイントがあります。
どれくらい時間をかけられるか?
自分が気になっていることに対する治療に、どれくらいかけられる時間があるかは重要です。
もし年単位で時間をかけられるのであれば、内容によっては歯列矯正を選択することもできます。また、最良の結果を得るために、歯列矯正とセラミック矯正を組み合わせることもできるかもしれません。
逆に時間が1か月しかないという状況であれば、セラミック矯正でも難しい可能性もあります。あるいは、望まない妥協をすることになるかもしれません。
セラミック矯正は歯列矯正に比べて短期間でできるとはいえ、それでもある程度時間に余裕があったほうが望ましいです。
それ以外の手段はないか?
薬剤性の歯の変色など、セラミック矯正が最善となる場合もありますが、叢生の治療ならば歯列矯正を選択した方が無難なこともあります。
歯を白くしたいだけであれば、ホワイトニングで事足りるかもしれません。
複数の治療の選択肢の中から選べると良いでしょう。
リスクは確かめたか?
セラミック矯正は程度に差はあるものの、必ず歯を削ることになるため、そのリスクについて自分で調べることはもちろん、歯科医師からきちんと説明を受け、理解した上で治療を受けることが大切です。
治療を受ける歯科医院、歯科医師を選ぶ
セラミック矯正は「削って被せる」というある意味ほとんどの歯科医師ができることでもあるため、どこで誰にやってもらうかが重要です。
複数の医院で診察・相談を受けて信頼できる歯科医師にお願いする
セラミック矯正は後戻りできない治療であるとともに、歯科医師による見解の違いもあります。
費用や期間といった要素も大事ですが、しっかり説明を受け、納得し、信頼できる歯科医師を探すこともまた大切です。
歯科医師の症例を掲載しているかつ症例数が多い歯科医師を選ぶ
症例写真は歯科医師の腕や仕上がりのイメージを如実に示すため、非常に参考になります。また、掲載する症例が多ければ、それらの症例のクオリティを安定して出せている可能性があります。
審美歯科専門の歯科医院を選択する
ひと昔は審美歯科というと、美容外科的なやや胡散臭いイメージがありました。
しかし現在では、さまざまな歯科材料の特性や補綴、歯周病、矯正などいくつもの領域の知識と技能の求められる高度な治療と認識が変わっています。
高い技術を持つものの審美歯科を専門としない歯科医師もいますが、選ぶ際の参考になります。
セラミック矯正のデメリットとは?治療を受ける前に知っておきたい予備知識
【まとめ】セラミック矯正で失敗して後悔しないための正しい知識と対策
セラミック矯正は、歯の形と色を変え、短期間できれいな歯並びを得られる反面、適応を見極め、慎重な歯科医院や歯科医師選びが長期の予後に重要です。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
- セラミック矯正とは、セラミックの補綴物によって歯の形や色、歯軸など変え、きれいな歯並びや見た目を得る治療法である
- ケースによっては抜髓処置を必要とするレベルで大きく削ることになる
- 無理な適応でセラミック矯正を行うと歯の寿命を縮めてしまうリスクがある
- セラミック矯正をする前に十分な診察・相談や適応の見極めが大切
- 信頼できる歯科医院や歯科医師で治療を受ける
セラミック矯正を考えている、もう少し詳しく知りたいといったことがあれば、審美歯科でまずは診察・相談を受けてみて、治療への理解を深めてから受けるようにしましょう。