セラミック矯正は、色と形ともにきれいな歯を実現し得る治療法です。
しかし、セラミックのきれいな歯を手に入れても、虫歯になってしまっては元も子もありません。
セラミック矯正後の虫歯は防げるものなのでしょうか?
この記事では、セラミック矯正をした歯の虫歯リスクとその対策を解説します。
この記事を読むことで、セラミック矯正をした歯が持つ虫歯リスクと対策法や虫歯になってしまった際の対処法を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
- セラミック矯正をした歯でも虫歯になる?
- セラミックの歯は、どうしたら虫歯の予防ができる?
- セラミックの歯が虫歯になったらどうなる?
目次
セラミック矯正をした歯も虫歯になる?
結論から言うと、セラミック矯正をした歯も虫歯になる可能性があります。
確かにセラミックが虫歯になることはありませんが、セラミックと自分の歯の境界から虫歯になることがあります。
修復や補綴で用いられた人工物(セラミックや金属など)と歯との境界からできてしまう虫歯のことを二次う蝕と呼びます。
セラミック矯正後も二次う蝕の予防をする必要があります。
二次う蝕のリスクと対策
二次う蝕ができてしまうリスク因子にはどのようなものがあり、二次う蝕を作らないためにはどうすればよいのでしょうか?
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マージン不適合
クラウンやインレーなどの補綴物、修復物と自分の歯との境界面をよくマージンと呼びます。
マージンが合っていない(短すぎる、長すぎる、段差ができている、など)ことはマージン部にプラークが溜まったり、菌が内部に入り込んでしまったりするリスクとなります。
マージン不適合の原因には術者側の問題として、歯の形成(削り)や型採りが上手くいかなかったことが挙げられますが、患者側の問題として後に述べるプラークコントロール不良もその原因の一つになります。
歯周病
歯周病そのものは二次う蝕の原因ではなく、歯周病原菌も虫歯の原因菌ではありません。
しかし、歯周病によって歯肉退縮を起こすとマージンが露出し、見た目が悪くなるだけでなく、二次う蝕のリスクを高めます。また、セラミック矯正後の歯の寿命を縮めることにもつながります。
プラークコントロール不良
二次う蝕だけでなく、歯周病の原因にもなるきわめて高いリスク因子です。
セラミックはプラークが非常につきにくい特性がありますが、それでも歯と歯の間(歯間部)や歯と歯肉の境界(歯頸部)などの物理的に汚れの留まりやすい箇所があります。そのような箇所の清掃は、セラミックといえども入念に行う必要があります。
二次う蝕も歯周病も多くの場合、プラークコントロール不良が原因となって起こります。そのため、セラミック矯正後の二次う蝕や歯周病対策としては、プラークコントロールが非常に大切になります。
強い咬合力
プラークコントロールが関係しない要素として、咬む力(咬合力)が強い(強すぎる)ことも二次う蝕のリスクになります。
金属もセラミックも歯科用セメントで歯に接着しますが、強い咬合力によって徐々に壊されてしまうことがあります。
セメントが完全に壊されると、クラウンなどの補綴物や修復物は外れてきますが、一部だけが壊された状態ではセメントがあったスペースに空間ができます。この空間に唾液に混ざって細菌が入り込み、クラウンなどの内側で二次う蝕を作ることがあります。
また、セラミックが一部欠けたりヒビが入ったりすることで生じたわずかな隙間から二次う蝕を作ってしまうこともあります。
このような咬合力によるトラブルが起こりやすいケースでは、咬合力を分散するためにマウスピースを装着して対策することがあります。
セラミック矯正をした歯が虫歯になったら
もし、セラミック矯正をした歯が虫歯(二次う蝕)になってしまったらどうすればよいのでしょうか?
再製作(作り替え)
二次う蝕の範囲や程度が小さいときは、セラミッククラウンの作り替えで対応することになります。
神経に及ぶ大きい二次う蝕になっていた場合、歯の保存が可能な条件であれば神経の処置を行い、コアを作ってから作り替えを行います。
抜歯
もし二次う蝕が歯根で広がりすぎていて、歯の保存そのものが行えない場合は、残念ながら抜歯となることもあります。
その後は、セラミックのブリッジやインプラントを使って、抜歯した部位の補綴を行います。
いずれにせよ費用も期間もかかることになり、抜歯の部位や本数によっては大がかりな治療となってしまいます。
【まとめ】セラミック矯正をした歯の虫歯リスクと対策
セラミック矯正後の虫歯リスクと対策、二次う蝕になった時の対処法を解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
- セラミック矯正(補綴)をした歯も虫歯のリスクがある
- セラミックの歯でもプラークコントロールは重要
- セラミック矯正後の歯が虫歯になると大がかりな治療が必要になる可能性がある
セラミック矯正をした後の歯も虫歯のリスクがあり、虫歯予防や長期的な安定のためには継続的なプラークコントロールや咬合力の制御が欠かせません。
セラミック矯正後には、アフターフォローとして定期検診を必ず受診するように心がけましょう。