虫歯や歯周病、口臭を予防して、口の健康を保つことが重要だとよく言われています。
ドラッグストアだけでなく、雑貨屋にもオーラルケア用品コーナーがありますが、それらをどう選び、どう使えばいいかは説明が少なく、よくわからないこともあるのではないでしょうか?
この記事では、オーラルケアアイテムの選び方、その使い方を解説します。
この記事を読むことで、オーラルケアの用途に応じたアイテム選び方とそのやり方を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
- 歯ブラシなどのアイテムは何を選べばいいの?
- 歯周病、口臭予防のためのケアのやり方
- 知覚過敏があるときの磨き方と知覚過敏の予防法
- マウスウォッシュはいつ使えばいいの?
目次
オーラルケアとは?
ドラッグストアや雑貨店などでも見かけるオーラルケアという言葉ですが、どういう意味なのでしょうか?
実は統一された定義のある言葉ではなく、厚生労働省のまとめによると、広い意味では「口腔疾患および機能障害に対する予防、治療、リハビリテ-ションを目的とする歯科治療から機能訓練までを含むケア」とされています。
つまり、予防から治療まで口の中を健康に保つこと全てがオーラルケアという言葉には含まれることになりますが、ここでは個人でできる虫歯や歯周病など、口の中のトラブルへの予防のこととしています。
なお、オーラルケアとデンタルケアを分けて考えるとする情報などもありますが、あくまで個人の考えであり、公式なものではありません。
オーラルケアのやり方とアイテムの選び方
ひとくちにオーラルケアと言っても売場には様々なアイテムがあり、どれをどう選べばいいかわからないことが多いと思います。
オーラルケアのアイテムは、その目的と口の中の状態により何を選べば良いかが変わります。
歯冠のプラーク除去(歯ブラシ、ブラッシング法)
まず、歯の見えている部分の清掃についてです。
用いるものは基本的には歯ブラシですが、その歯ブラシにもいろいろな形があります。
歯ブラシの選び方のポイントは、ヘッドの大きさと毛先のタイプです。一般的には、小回りがききやすいヘッドが小さいものが良いとされます。しかし、小さいヘッドでは、歯列全体を漏れなく磨くためには時間がかかるため、せっかちな人や不器用な人では大きめのヘッドのものを使用するほうがいいこともあります。
ブラッシングにはいくつかの方法があり、その中には虫歯予防に向くものと歯周病予防に向くものがあり、これから述べるブラシの毛先のタイプによっても向き不向きがあります。
どんなブラシやブラッシング法が良いかは人によるため、歯科医院でブラッシング指導を受けることをおすすめします。
歯ブラシは同じような形をしていても毛先のタイプによって性質が変わり、現在では毛先はラウンド毛とスーパーテーパード毛の2種類の毛先があります。
一般にラウンド毛は耐久性が高く、プラーク等の除去効率が高いかわりに細かいところには届きづらいとされ、スーパーテーパード毛は細かいところまで毛先を行き届かせられる一方で、ラウンド毛より耐久性とプラーク除去効率は落ちるとされています。
市販の歯ブラシでは、スーパーテーパード毛を採用するものが多い印象ですが、2つのタイプの毛先はどちらかが優れているというものではなく、特にどこのプラーク等を除去したいかで選択することになります。
傾向として、プラークが多く、効率的なプラーク除去と虫歯の予防をメインに考えるのであればラウンド毛を、歯周病の予防をメインに考えるのであればスーパーテーパード毛が推奨されます。
一番奥の歯の後ろ側や矯正装置の周囲など、通常のブラシではどうしても届かせづらい部位にはタフトブラシと呼ばれるものもあります。ヘッドが極めて小さく、ピンポイントでのブラッシングに特化した形状のため、これで全体を磨くことはできませんが、よりきめの細かいブラッシングが行えます。
隣接面のプラーク除去(フロス、歯間ブラシ)
歯の大部分は歯ブラシでプラーク除去が可能ですが、隣り合う歯との接点とその周囲(隣接面と呼びます)は、歯ブラシのみで磨ききることはほぼ不可能です。そのため、隣接面の清掃には隣接面用の清掃器具であるフロスと歯間ブラシを用います。
使い分けとしては、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が下がって隙間があいている場合やブリッジが入っている場合は歯間ブラシを、そうでない場合はフロスを使います。
なので、進行した歯周病がなければ基本的には隣接面の清掃にはフロスを使うと考えてよいです。
フロスは夜のみで構いませんが、毎日のブラッシングと合わせて行うのが効果的です。
フロスはリール型とホルダー型、糸タイプ(糸がバラけないタイプ、ワックスつき/なし)とスポンジタイプ(糸がバラけるタイプ)で分けることができます。
どの型、タイプでもフロスを歯面に押しつけるようにして密着させ、ゆすりながら歯と歯の間に上から通して使います。自分のフロスの使い方があっているか、使用しているものが適正か、歯科医院で相談してみるとなお良いでしょう。
リール型は、自分で必要な量をとって指に巻き付けて使います。ホルダー型よりコスト面で優れ、細かな動きを行えますが、奥歯に通すときには指を口の奥まで突っ込まないといけないため、使いこなすにはテクニックが要求されます。
ホルダー型は、特にY型では奥歯にフロスを通しやすいですが、あまり細かい動きはできないのと、どうしても割高になります。
プラーク除去ができれば、どちらの型でも問題はありませんが、どちらが手軽に使えるかや、上手く扱えるかなどで選ぶとよいでしょう。
糸タイプとスポンジタイプは、特にどこのプラーク除去を目的とするかで選びます。
歯肉縁上(目で見える範囲)のプラーク除去には、糸タイプが優れます。
スポンジタイプは、歯肉縁下(歯ぐきの中)のプラーク除去向けに作られているものが多くなっています。
歯根面、知覚過敏がある部分のプラーク除去(ブラッシング法)
歯肉退縮により歯根が露出してしまったり、知覚過敏を起こしてしまっている箇所には、それ以上状況を悪化させないようにブラッシングを気をつける必要があります。
水平的で大きなストロークのブラッシングは、効率的なプラーク除去が行えないだけでなく、歯肉を傷つけ歯肉退縮や知覚過敏の原因になります。そのような症状がある箇所では特に、適正な範囲の力(100g程度と言われています)で、小さいストロークで動かすように心がけましょう。
舌苔の除去(舌ブラシ)
あまり気にすることは多くないですが、舌にプラーク(舌苔/ぜったい)が溜まることで口臭の原因になります。舌苔は歯ブラシで除去することもできますが、舌を傷つけやすいため、舌ブラシを使用することをおすすめします。
舌ブラシを使用するときは、できるだけ舌を前に出し、奥から手前に向かって軽くなぞるようにします。舌の表面は元々白っぽく見える層があるため、舌ブラシをかけてもある程度白っぽさは残ります。また、舌苔の除去は毎日する必要はなく、週に1回程度行えれば十分です。
マウスウォッシュの活用
ブラッシングやフロスなどで清掃を行ったところにマウスウォッシュ(洗口剤)を用いることで、歯周病予防や口臭予防が期待できます。
マウスウォッシュは清掃が終わった後に使用することが前提のものであり、ブラッシング前に使用しても効果はありません。よく似たものに液体ハミガキがありますが、こちらはブラッシング前に使用し、吐き出したらそのままブラッシングを行うものです。
いずれにせよ液体のケア用品はブラッシングと併用することになります。
液体歯磨剤と洗口液(デンタルリンス)の効果と使い方【歯磨き粉との併用も解説】
保湿(口腔内用保湿剤)
ほとんどの場合は必要ありませんが、口の中の保湿もオーラルケアに含まれます。
強いストレスや薬の服用などで唾液の量が減って口の中が乾燥することがあります。乾燥状態が続くと口内炎や舌炎といった粘膜炎を起こしやすくなったり、虫歯リスクが上がったり、口臭が強くなりやすかったり、さまざまな影響が出ます。
この場合は、ジェルやスプレータイプの保湿剤を適宜口の中に塗り広げます。
【まとめ】オーラルケアのやり方は?アイテムの使い方や選び方も紹介
オーラルケアには様々なアイテムがあり、その目的によって使い分けが必要です。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
- オーラルケアは目的と口の中の状態によってアイテム選びが変わる
- 歯ブラシの毛先はラウンド毛とスーパーテーパード毛の2種類の毛先がある
- 通常のブラシでは届かせづらい部位にはタフトブラシを活用する
- 歯の隣接面の清掃にはフロスと歯間ブラシを使う
- 歯肉退縮や知覚過敏がある場合は適正な範囲の力でブラッシング
- 舌苔の除去には舌ブラシを使う
- マウスウォッシュは清掃が終わった後に使用するのが前提
- 口の中が乾燥したら口腔内用保湿剤で保湿
この記事で紹介したような自分でのオーラルケアに加えて、オーラルケアのチェックや虫歯などの検診を兼ねて、歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要かつ効果的です。
今の自分のケアについて、歯科医院で診てもらうのはいかがでしょうか。