口臭予防とチェック方法

口臭予防とチェック方法

日常生活の中で話す機会は多いですが、口臭を気にしていると笑顔で会話を楽しむことができなくなります。口臭に関する正しい知識を身につけ、適切なケアを行うことが大切です。

ここでは、自宅で出来る口臭予防と歯科医院での口臭チェックについて紹介します。

目次

自宅で出来る口臭予防

口臭を予防するには、口の中を清潔にする口腔ケアを行い、歯垢(プラーク)や舌苔(ぜったい)を除去することが重要です。

舌苔の除去

生理的口臭の多くは舌苔が原因なので、舌をきれいに清掃することで口臭は改善します。舌苔の除去には、舌ブラシ等を用いた物理的清掃法が一般的です。

舌ブラシ

舌ブラシ

舌の清掃用具は、大別して「ブラシタイプ」と「ヘラタイプ」に分かれます。

ブラシタイプは、歯ブラシよりも毛丈の短い植毛がアーチ状に配列されています。ヘラタイプは、植毛はなく、プラスチックや金属のヘラで舌苔を除去します。歯ブラシは使い方により炎症を助長することがあるので、舌専用の用具の使用をお勧めします。

使用時のポイント

  • 硬い植毛の歯ブラシの使用は避けてください。
  • 1日1回を原則とします。生理的口臭が最も高いのは、通常、起床直後なので、朝の歯磨きの際に行うとよいでしょう。
  • 嘔吐反射を防ぐため、舌をなるべく前に突き出します。
  • 鏡で分界溝(舌が作る山の頂上付近)の位置を確認し、その部分から前にかき出すように数回動かします。
  • 舌は柔らかく傷付きやすいため、力を入れすぎたり、奥までブラシを入れたりしないようにしましょう。

プラークの除去

口臭を予防するためには、どれだけ効果的にプラークコントロールできるかがポイントになります。定期的なプロフェッショナルケアと共に毎日行うセルフケアの実施は、プラークコントロールに効果的です。

プラークを除去するためには、毎日のブラッシングが基本となります。プラークは歯と同じ白〜淡黄色なので、注意深く観察しないと磨き残してしまいます。歯

並びなどによって歯の磨き方は一人ひとり異なります。自分の口腔内状況に適した歯の磨き方を歯科医師や歯科衛生士に教わり、毎食後に実践することが重要です。

ここでは、ブラッシング以外の日常で効果的なセルフケアとして「歯間部清掃」と「マウスウォッシュ」をご紹介します。

正しい歯磨きのやり方と手順

歯間部清掃

歯間部清掃 フロス

セルフケアの基本はブラッシングですが、ブラッシングだけでは、歯間部のプラークの約6割程度しか除去できないといわれています。歯間部清掃には、主にデンタルフロスと歯間ブラシを用います。

糸状のデンタルフロスは、歯間の歯面と歯周ポケットを清掃する道具です。使用時に出血する場合は歯肉炎の可能性が高く、フロスが途中で引っかかる、切れるなどの場合には、虫歯、歯石、修復物の不適合などが考えられます。

歯間ブラシは、歯と歯の隙間を清掃する道具です。隙間の広さには個人差があり、また口の中の部位によっても異なるので、きれいに清掃するためには各部位の歯間の隙間に合ったサイズを使い分ける必要があります。

デンタルフロスの効果的な使い方と最適な使用頻度

マウスウォッシュ

マウスウォッシュ

ブラッシング、歯間部清掃後の仕上げに、マウスウォッシュ(洗口液)を使用して、口腔全体の化学的プラークコントロールを行います。

口臭を予防する製品は、数多く市販されています。化粧品に分類される製品は、においを分解して消臭したり、香りの強い成分で口臭を隠すマスキング効果によるところが大きかったりするため、爽快感や香りが得られますが、一時的に口臭を予防するだけであり、根本的な解決にはなりません。

化学的プラークコントロールの手段としては、殺菌力のある医薬部外品に分類されるマウスウォッシュを使用して、口臭の発生過程に関与する口内細菌を日常的に殺菌するのが効果的です。しかし、化学的プラークコントロールに用いられる洗口液は、バイオフィルムに効果があるものでしょうか?

バイオフィルムは、成熟すると抗菌成分が浸透しにくく、免疫細胞に抵抗性を持つため、深部の細菌を殺菌できないことが分かっています。洗口液は口に含んでいる時間が20〜30秒と短いため、殺菌効果は強くても浸透性の悪いものはバイオフィルム内部にまで入っていかず、ほとんど効果が期待できません。したがって、洗口液は、殺菌力とともに浸透性が良いものを選択することが重要です。

液体歯磨剤と洗口液(デンタルリンス)の効果と使い方【歯磨き粉との併用も解説】

唾液の分泌を増やす

唾液には、浄化作用(唾液によって溶解された飲食物を希釈すると同時に、食物残渣などを洗い流します)、抗菌作用(唾液には細菌を殺菌する成分や発育を抑制する成分が含まれます)、粘膜保護作用(粘膜を被覆して、乾燥を防ぎ、化学物質や細菌の酵素の影響を緩和します)といった働きがあります。

唾液の分泌量が減って口の中が乾くと、これらの作用が弱まり口の中の細菌が増えるので、口臭が出やすくなります。加齢とともに唾液の分泌は少なくなるといわれますが、薬の副作用、糖尿病や腎不全などの全身疾患、ストレス、喫煙、シェーグレン症候群など複合的なことが考えられます。

唾液の分泌を増やす方法

  • 水分摂取:体の中の水分が減少すると、それに伴い唾液も減ってしまいます。水分を補給し、口腔乾燥を防ぎます。
  • 食事の時によく噛んで食べましょう:噛むことが刺激となって唾液の分泌が促されます。ゆっくりと回数を重ねて噛むようにしましょう。
  • ガム咀嚼:ガムを噛むことで唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促します。
  • 唾液腺マッサージ:唾液を作る唾液腺は、舌の下、顎の下、耳の下に左右で対になり存在しており、それぞれ舌下腺、顎下腺、耳下腺といいます。これらの唾液腺をマッサージして刺激することも効果的です。
  • 舌体操:舌を動かすと、舌の下にある舌下腺や顎下腺という唾液腺が刺激されるので唾液が出てきやすくなります。

唾液の効果と正常に分泌させる方法

歯科医院での口臭チェック

口臭予防を行っても口臭が気になる人は、原因疾患の治療が必要な場合もあります。早めに歯科医院に相談しましょう。

口臭検査・測定

口臭検査法には、口臭官能検査とガスクロマトグラフィーや半導体ガスセンサーなどの機器による検査の2種類があります。

口臭官能検査

患者さんの訴える口臭を術者の嗅覚によって客観的評価する方法です。測定法はいくつかありますが、例えば、スクリーン越しに患者さんに息を吐いてもらい、術者の嗅覚で口臭の有無を評価します。

ガスクロマトグラフィーなどの機器による検査

口臭測定機器は、すべての歯科医院に普及しているわけではありません。口臭測定を希望する場合には、口臭測定機器が設置されている口臭専門クリニックを受診するとよいでしょう。

機器を使用する場合は、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類のVSC(揮発性硫黄化合物)ガスの基準値が決められており、その値より高い場合に「口臭あり」と判定します。

機器による口臭測定は、数値で結果が示されるので信頼できると考える人も多いですが、VSC以外のにおいは判定できません。全身由来の病的口臭のにおいなどは、官能検査では判定できますが、口臭測定機器では検出できません。

市販の口臭チェッカーでもセルフチェックできますが、口臭チェッカーの多くは、口臭物質にだけ反応するのではなく、他の臭いにも反応してしまいます。臭いが強いと表示されても、それは口臭だけを正確に表していないかもしれないので注意が必要です。

口腔内診査

多数の検査を行い、口臭の原因を突き止めます。

  • 歯周組織の状態:歯周ポケット測定、出血・排膿の有無などを確認し、歯周病の診査を行います。
  • 歯の状態:虫歯や不適合修復物の有無を確認します。虫歯や修復物内部の腐敗が口臭原因となることがあります。
  • 舌苔の状態:舌苔の色と厚みを診ることで診断します。
  • 口腔粘膜疾患の有無:発赤、腫脹、びらん、潰瘍などの症状を確認します。粘膜所見で問題となるのは、舌運動障害です。舌運動が悪いと舌苔や食渣が溜まり、口臭の原因となります。口腔乾燥が疑われる場合は、唾液の流出状態などの唾液検査を行った方がよいでしょう。
  • 唾液検査:唾液の量・性状およびpHを検査します。
  • 口腔衛生状態:歯垢や歯石の付着状態を確認します。

【まとめ】口臭予防とチェック方法

日頃から舌清掃などの口腔ケアを習慣化することは、生理的口臭の予防に効果的です。しかし、歯周病などの疾患が原因となっている病的口臭は、原因疾患の治療が必要になります。

口臭予防を行っても口臭が気になる場合は、歯科医院で口臭チェックを受けていただくことをお勧めします。

口臭の種類と原因

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