口内炎の原因と症状は?治し方と予防法も解説

口内炎の原因と治療法

口は、食事や呼吸、会話などで外部に接する器官だけに、細菌やウイルスなどの影響を受けやすく、口内炎を引き起こす原因や症状もさまざまで、原因や症状に合わせた治療を行うことが大切です。

また、いつもの食事や生活を少し見直すことで、口内炎ができにくい口腔内環境につながります。

目次

口内炎の分類と症状

口内炎は通常、口腔粘膜の表面に炎症性の病変がみられるものをいいます。口内炎は、引き起こす原因や現れる症状もさまざまです。

病態による分類

口内炎を症状から見て分類したもので、代表的なものを以下にあげます。

しかし、口腔粘膜は温度変化や機械的な刺激などを受けるため、その症状は刻々と変化します。一つの口内炎にいくつかの症状が当てはまることもあり得ます。

アフタ性口内炎

アフタとは、境界明瞭な類円形の小さな潰瘍で、表面を白色ないし黄色の膜で覆われ周囲に発赤を認める病変です。有痛性で、その多くは瘢痕を残さずに治癒します。

アフタを生じる原因には、ウイルスのほか、全身疾患の一部の症状が口腔内に出現する場合、その他、外傷によるもの、そして原因不明なものもあります。

口腔粘膜に多数のアフタを生じた場合、アフタ性口内炎と呼ばれます。何度も繰り返しできる場合は再発性アフタ性口内炎と呼びます。

カタル性口内炎

口腔粘膜の漿液性炎(炎症で血管壁や組織の性質が変化して、血液や組織液が血管外へ流出すること)をカタル性口内炎と呼びます。

何らかの原因によって口腔の清掃状態が悪くなり、連鎖球菌などの口腔常在菌が繁殖したり、口腔内の細菌叢の状態(バランス)が変わってカンジダ菌が繁殖したりして発症すると考えられています。

口腔粘膜に発赤、紅斑、浮腫が生じます。口腔に熱感ないし灼熱感があり、いわゆる口が荒れた状態になります。

びらん性口内炎

口腔内の粘膜が一部薄くなるあるいは委縮することで紅くなり、それが粘膜の表層欠損となりびらんを生じる口内炎です。

特徴としては、口内炎が口腔内の一部に限局せず、口腔全体に広がる傾向にあること、強い疼痛があり、症状がひどくなると発熱、全身倦怠感が発現し、精神的ストレスも強くなり、口腔衛生状態も悪化し、口腔全体に痛みが広がるなどがあります。

潰瘍性口内炎

びらんがさらに進み、口腔粘膜に潰瘍を生じた状態を呈する口内炎の総称です。

歯や義歯による機械的刺激、細菌やウイルス感染、放射線や化学薬品による損傷などの局所的原因で、紅斑・びらんがさらに進行して生じる場合と、白血病や膠原病などの全身的な疾患の口腔粘膜症状として起こることがあります。

部位に着目した分類

歯茎にできたものを「歯肉炎」、舌の場合は「舌炎」、唇や口角では「口唇炎」、「口角炎」と呼ばれ、それぞれの部位に限局した症状の場合に用いられます。

口内炎の原因

原因はさまざまです。原因が明らかなものとしては、細菌、真菌、ウイルスなどの感染症として起こるものです。

感染症以外では、薬物、アレルギー、白血病、放射線、尿毒症などの関与が挙げられます。その他、不良補綴物(不適合な冠や詰め物、義歯など)による刺激や唾液分泌の減少が原因となることもあります。

また、健康状態が良いときには発症することがほとんどないため、発症には免疫機能の関与が推測されています。誘因としては、全身疲労、風邪、胃腸障害、ビタミン欠乏、抗菌薬またはステロイド薬の服用、過度の喫煙が挙げられます。

口内炎の治療

多くの口内炎は1〜2週間で自然回復します。しかし長期的に続く場合や広範囲で発生している場合、発熱などの全身疾患を伴っている場合などは、病院を受診することをお勧めします。また、痛みが強くて食事ができないなど、生活に支障が出ている場合にも、無理せずに医療機関を受診しましょう。

原因の明らかな口内炎は、原因の除去が行われます。しかし、原因不明なものも多く、対症療法が中心となります。歯科医院では、レーザー治療なども行われています。

栄養管理・休養

口内炎になったときは胃腸が弱っていることも考えられます。口内炎ができている間は、消化の良い食事を意識しましょう。また、口内炎の症状の程度によって食事の形態を工夫して食事をとり、栄養改善を図ります。

例えば、口内炎の痛みが強く、噛むことがつらい場合は、スープなどの食べやすく栄養が補給できるメニューを選ぶとよいでしょう。刺激の強いものや味の濃いもの、熱すぎたり冷たすぎたりするものを避けるのはもちろん、ビタミンを摂取するとよいといわれています。

それと共に、重要なのが休息をとって、十分に体を休めてやることです。多くの口内炎は、肉体的や精神的な疲れなどで身体が弱っているときに発症します。口内炎になったらまずはしっかりと休養を取り、身体の抵抗力を高め免疫力を回復させることが大切です。

薬物療法

含嗽剤やトローチ剤、口腔用軟膏、貼付剤など症状や状況に応じて処方されます。薬を使って口内炎を改善するには、口内炎の原因に合った薬を使用することが大切です。

含嗽(がんそう)剤

口内炎があると、歯ブラシの物理的刺激や歯磨き剤による化学的刺激により口腔清掃が不良になります。

歯ブラシは歯の部分のみで小刻みに動かし、なるべく粘膜に触れないようにしましょう。歯磨き剤は刺激が強い場合は使用を控えたり、刺激のないものを選んだりするとよいでしょう。

さらに、口腔清掃不良に陥りがちな口腔環境の改善と含嗽剤の中に含まれる薬の効果を期待して含嗽剤を用います。

含嗽剤の作用には消炎作用、消毒作用、抗菌作用があります。

製剤としては、15〜30倍希釈ポピドンヨード(イソジンガーグル)、0.004%塩化ベンゼトニウム(ネオステリングリーン)や抗炎症薬のアズレンスルホン酸ナトリウムのほか、抗菌薬を含むものでは、硫酸フラジオマイシンの散剤(デンターグル含嗽用散20mg/包:昭和薬品化工)などがあります。

一方で、これらの消毒や抗菌を目的とする含嗽剤では、長期使用により口腔内の細菌のバランスが崩れ、黒毛舌などの発症が見られることがあります。ポピドンヨードでは、長期間の使用で血中要素濃度の上昇や歯の着色を生じることがあるので、洗口使用は14日以内とするのが望ましいとする報告があります。

トローチ剤

口腔内で徐々に溶解し、含嗽剤より薬剤効果が長時間持続することを期待したもので、含嗽剤と同じく消炎作用、消毒作用、抗菌作用を有するものがあります。

口腔用軟膏

軟膏は病巣への付着性を高め、長期間の薬剤効果を得るもので、小範囲の口内炎に対して用います。

軟膏は食物摂取や唾液により流されやすいので、食後や就寝前に口腔清掃・含嗽後、指または綿棒により軟膏を病巣に塗布します。

種類としては消炎作用、抗菌作用を有するものと、抗ウイルス剤、抗真菌剤などがあります。再発性アフタに対しては、消炎作用を有するトリアシムシノロン(ケナログなど)、デキタメタゾン(アフタゾロン、デキサルチンなど)など副腎皮質ステロイド剤がよく用いられます。

抗菌剤・ステロイド剤の使用により、口腔内の細菌のバランスが崩れ、口腔カンジダ症が発生することがあり、このような場合には、急性偽膜性カンジダ症に対する抗真菌薬(フロリードゲル)を用いて対応します。

貼付剤

限局した範囲の口内炎に対して、病巣への付着性を高めて長時間の薬効を期待するもので、軟膏よりさらに付着性が高いといえます。病巣を被覆することにより食物などによる刺激を緩和する効果もあります。

口内炎の予防

口腔清掃を行い、口腔を清潔な状態に保ちます。口の中を清潔に保つ習慣は、最も欠かせない予防法です。

歯磨きには、歯間ブラシやマウスウォッシュを合わせるとよいでしょう。義歯や矯正器具を付けている場合も、細菌が繁殖しやすいのでこまめに洗浄しましょう。

歯の鋭縁部位や不良補綴物など、粘膜への刺激となる要因がある場合は取り除きます。また、歯にトラブルのない方でも定期的に歯科医院で口腔ケアを行うことで、口腔内の衛生状態を良好に保つことができます。

口内炎の治療でも述べたように、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠をとり、免疫機能の維持向上を図ります。口の中が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなるため、唾液の分泌が増えるように食事の際はよく噛むことを心がけましょう。また、ガムを噛むと唾液の分泌が促進されます。さらに、禁煙を行い、ストレスのある生活を避けます。

放射線治療や化学療法を行っている患者さんは、その病変や療法に応じた口腔ケアを行います。

【まとめ】口内炎の原因と症状は?治し方と予防法も解説

口内炎ができてしまった場合、まずは経過を診ることが第一の選択肢となります。多くの口内炎は1〜2週間で自然回復します。口腔を清潔な状態に保ち、栄養と休息をとりながら回復を待つことが大切になります。

なかなか治らない場合は、原因因子の除去が必要なケースや別の病気である可能性もあります。口内炎が長期的に消えない、または何度も繰り返すという場合には、病院で診てもらうと安心でしょう。


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