美しい歯並びは、正面だけでなく横顔も美しくしてくれます。
美しい横顔の敵である出っ歯は、歯並びの悩みの中でも頻度が高く、インビザラインでも治療することは珍しくありません。しかし、インターネット上では出っ歯の治療には抜歯が必要だとか、インビザラインでは出っ歯は治らないとか、失敗するとか、逆に出っ歯になるといったネガティブなワードを目にすることもあります。
この記事では、インビザラインでの出っ歯の治療について解説します。
この記事を読むことで、インビザライン矯正で出っ歯の改善が可能なのか、出っ歯の矯正で失敗しないためのポイントについてを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問が解決
- インビザラインで出っ歯の治療はできる?
- 非抜歯でも出っ歯は治る?
- インビザラインで治せない出っ歯はある?
- インビザラインで出っ歯になるって本当?
目次
インビザラインでも出っ歯は治せる
出っ歯の治療は前歯6本の中、前歯より後方(=奥歯)のどちらか或いは両方にスペースを確保し、そのスペースに出っ歯になっている前歯を動かすことで行います。
骨格的な問題がない場合、どれほど出っ歯の改善が見込めるかは、確保できるスペースの量によります。そのため、この要素さえ満たせればインビザライン矯正、ワイヤー矯正のどちらでも出っ歯の治療ができます。
インビザラインで治せる出っ歯と治せない出っ歯
ワイヤー矯正、インビザラインどちらでも出っ歯の治療はできますが、症例によってはインビザラインでは適応外になるものもあります。
すきっ歯の出っ歯
割合的には低いケースではありますが、もともとすきっ歯で(=歯を動かすスペースがある)かつ出っ歯の場合は、インビザラインで治せる可能性が高いです。
すきっ歯で得られているスペースだけでは不足する場合でも、必要なスペースをディスキング(ストリッピング)といった非抜歯の手段で得られる確率が高くなります。
軽度のスペース不足
歯列全体で1歯分未満のスペース不足であれば、インビザラインでも十分に出っ歯の治療が可能です。
非抜歯では不足するスペースを補うために、多くの歯にディスキングをする必要も出てきますが十分可能な範囲です。
中等度から重度のスペース不足
歯列全体で1歯分以上のスペース不足があるときはインビザラインでは難しい、あるいは不適応となります。このようなケースでは、スペース不足を補うために抜歯を必要とすることが多くなります。
抜歯症例が全てインビザライン不適応ではありませんが、不足するスペース量によってインビザラインよりはワイヤー矯正が適することも多くなってきます。
骨格レベルの出っ歯
上顎の過成長や下顎の劣成長といった骨格的な原因が出っ歯の原因となっている場合には、インビザラインは適応外となります。
このようなケースでは歯列矯正ではなく、顎矯正(手術と組み合わせて行う矯正)が適応になります。顎矯正は、必ずワイヤー矯正で行います。
出っ歯の矯正治療
出っ歯の矯正治療とは、実際にはどのようなことをするのでしょうか?
非抜歯症例と抜歯症例に分けて説明します。
非抜歯での出っ歯の矯正治療
非抜歯で出っ歯の治療をする場合、すきっ歯などによってもともとあるスペースを活用したり、歯列拡大やディスキングをしてスペースを確保して行います。歯列拡大をすることで、歯列全体的にスペースを作り出すことができます。
また、ディスキングをすることで任意の場所に1歯あたり最大1㎜弱のスペースを確保出来ます。
こうして少しずつ確保したスペースを使って、少しずつ前歯を後ろに送って出っ歯を治していきます。
抜歯を伴う出っ歯の矯正治療
叢生など元々のスペースが不足していたり、ディスキングではスペース確保が十分に行えないケースでは、抜歯によりスペースを確保します。
歯列拡大やディスキングと異なり、抜歯では一箇所に大きなスペースが出現します。このスペースに1歯ずつ前歯を後ろに送って出っ歯を改善させていきます。
前歯のすぐ後ろに大きなスペースが出現するため、出っ歯になっている前歯6本分を一気に後ろに送っていきたくなりますが、これをすると奥歯にたわみが出て咬み合わせが狂うことがあるため、1歯ずつ送っていきます。
抜歯症例でも同時に歯列拡大をして、さらにスペースを確保することも可能です。
出っ歯の矯正治療で失敗しないために
出っ歯の矯正治療をしたはずなのに思ったように治らなかった、クリンチェックのようにはならなかったということがあります。
このような残念な結果にならないためには、どうすればよいでしょうか?
適切な診断を受ける
矯正治療は長期にわたる治療のため、診断と治療計画が重要です。
抜歯適応症例にもかかわらず非抜歯にこだわり歯列拡大で対応しようとすると、出っ歯の治療をしたのに改善せず治療が終了することもあります。
診断は患者の努力で変えられるものではありませんが、矯正治療専門の医院を選んだり、認定資格の有無を確認したりといった情報集めも必要になります。
複数の医院で診察・相談や診断を受けて、内容を比較することも良いでしょう。
インビザラインにこだわらない
インビザラインは以前に比べデータの蓄積も進み改良を重ねていますが、それでも着脱式のマウスピースというツールとしての特性上、どうしても苦手とする部分もあります。
前歯を大きく下げるケースなど、ワイヤー矯正のほうが早く確実にこなせる場合には、インビザラインにこだわるとうまくいかないことがあります。
ワイヤー矯正もインビザラインも、目的を達成するための手段に過ぎません。特定の手段にこだわることで思うような結果を得られないことがないよう、どのようなアプローチが良いか担当歯科医師とよく相談しましょう。
ゴムかけなどを徹底する
インビザラインの治療は規定のアライナー装着時間が守られ、ゴムかけなどの補助手段が適正に行われることを前提として計画が立てられます。
どうしてもゴムかけを忘れてしまったり、うっかりアライナーを装着し忘れていたりすると予定されていた歯の移動が起こらず、治療失敗のリスクが上がります。
インビザラインにおけるゴムかけの効果と期間は?正しい付け方のコツも解説
【まとめ】インビザラインで出っ歯は治らない?出っ歯の矯正で失敗しないための対策
インビザラインによる出っ歯の矯正治療について解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
この記事のおさらい
- インビザラインでも出っ歯は治せるが、適応外の場合もある
- 出っ歯の矯正治療でも、十分なスペースを作れれば非抜歯で治療可能なことがある
- 出っ歯の矯正治療では適切な診断と治療計画が重要
インビザラインでも出っ歯の矯正治療は可能ですが、重症例ではワイヤー矯正や顎矯正の適応となり、インビザラインでは適応外のものもあります。
出っ歯でお悩みの方は、まずは情報収集を兼ねて矯正歯科に相談してみてはいかがでしょうか。