爪楊枝(つまようじ)は歯に悪い?おすすめの清掃器具も紹介

爪楊枝(つまようじ)は歯に悪い?おすすめの清掃器具も紹介

飲食店や家庭で非常に身近な存在である「爪楊枝」。食事で歯に詰まったものを取り除く際、つい手に取ってしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、何気なく使っているその爪楊枝が、実は大切な歯や歯茎に悪影響を及ぼしている可能性があることをご存知ですか?
古くはネアンデルタール人の時代から使われてきた歴史を持つ爪楊枝ですが、現代の歯科医学の観点から見ると、清掃器具としては多くの懸念点があります。安易に使い続けることで、知らぬ間に歯茎を下げたり、歯周病のリスクを高めたりしているかもしれません。
この記事では、爪楊枝が歯に与えるメリット、デメリット、本来推奨されるべき正しい歯間清掃の方法を詳しく解説します。
この記事を読むことで、爪楊枝の意外なリスクを正しく理解でき、ご自身の大切な歯を守るために最適なオーラルケア用品の選び方を知ることで、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問が解決

  • 爪楊枝を毎日使っても歯に問題はないの?
  • 爪楊枝を使うことで起こる具体的なトラブル
  • 歯に詰まったものを取るのに一番良い道具
  • デンタルフロスや歯間ブラシの正しい選び方

爪楊枝の歴史

爪楊枝の歴史は、意外と古いことはご存知でしょうか。
なんと、10万年前のネアンデルタール人の遺跡から楊枝を使ったと考えられる痕跡が見つかっています。その理由は、ネアンデルタール人の歯の化石に認められた縦方向の筋です。硬い楊枝で歯を擦ったからではないかと考えられています。同様の化石は縄文時代や弥生時代の遺跡からも見つかっているので、人類は楊枝を太古の昔から使っているようです。
その後、奈良時代に仏教とともに歯木(しぼく)という柳の木の枝から作られた楊枝様の清掃用具が作られ、お坊さんから一般庶民にまで普及していったようです。現在の10cm未満の先端が尖った棒状の爪楊枝は、昭和30年代頃から作られるようになったと言われています。

爪楊枝の用途

爪楊枝は、歯間部に挟まった食べ物を取り除くために使われます。また、臼歯部の咬合面の裂溝に挟まった食べ物の除去に使うこともあります。
ところで、爪楊枝を使って歯の掃除をしているのは日本だけと言われています。
爪楊枝を日本人は外国人に説明するとき「tooth pick」と訳すようですが、厳密には外国では「tooth pick」というと、先端が平らになった平楊枝を意味しています。
平楊枝は爪楊枝よりも歯間部に入りやすく、食査などの除去効果も高い上、歯肉の損傷も起こしにくくなっています。中には、平ではなく三角形になったタイプを使っている国もあります。三角形になった平楊枝は、単に平らになった平楊枝よりも歯の清掃効果が高く、しかも歯肉のマッサージ効果もあるため、より優れています。
ちなみに日本で使っている先端の尖った爪楊枝は、歯の清掃用ではなく料理用に使われています。

爪楊枝のメリット

爪楊枝には、手軽さや低コストなどのメリットがあります。

手軽さ

爪楊枝は形状がシンプルですので、複雑な使い方はできません。
使い方は単純に歯間部の食査を除去するだけで、使い捨てなので破損したら新しいものに交換します。誰でも手軽に使えるのが、爪楊枝のメリットです。

低コスト

爪楊枝1本あたりの価格は歯ブラシやデンタルフロスなど、その他の歯の清掃用具と比べて非常に安価です。

歯間部の清掃効果

歯間部に挟まった食査などを取り除く効果が高いです。

爪楊枝のデメリット

爪楊枝には、実はメリット以上にデメリットが多く潜んでいます。

歯面清掃はできない

爪楊枝の清掃効果が発揮できるのは、歯間部に詰まった食べかすだけです。
歯の頬側面や唇側面、舌側面の清掃はできませんし、隣接面に付着したプラークの除去も困難です。

歯肉退縮のリスク

爪楊枝の先端は尖っています。しかし、使っているうちに先が解けてバラバラになることがあります。先端部がバラバラに分かれた爪楊枝は、歯肉を損傷し、出血させることがよくあります。
歯間部歯肉が損傷すると、歯肉炎の原因になるだけでなく、炎症症状が蓄積すると歯周炎に発展し、歯間部歯肉を中心とした歯肉退縮を生じる原因にもなります。

鼓形空隙の拡大

歯の隣接面とコンタクトポイントで構成される歯間部の空隙を鼓形空隙といいます。
鼓形空隙の広さは、底面である歯間部歯肉の影響を受けます。前述の歯肉退縮により、歯間部歯肉が退縮すると鼓形空隙が拡大します。拡大した鼓形空隙には食査がより侵入しやすくなるために、歯周病を悪化させる要因となります。

破損のリスク

爪楊枝で歯間部を清掃しているときに先端部が折れることがあります。何度も使った結果、湿って強度が低下した爪楊枝によく起こります。
また歯周病で歯周ポケットが深くなっていると、歯肉からの出血により折れた爪楊枝が見つからなくなることもあります。

プラークコントロールの低下

爪楊枝では食査は取れても、隣接面に付着した歯垢つまりプラークの除去は非常に困難です。特に歯周病の初発症状である歯肉炎は、歯間部から発症することが多いです。
歯間部の歯肉炎、つまり歯肉の腫れや出血を予防するためにも、歯間部のプラークコントロールはたいへん重要です。爪楊枝だけではプラークコントロールが困難なので、歯間部から歯周病になったり、隣接面齲蝕を生じたりするリスクが高まります。

歯石がつきやすくなる

歯石は、歯の表面についたプラークが石灰化したものです。
爪楊枝だけに頼るとプラークコントロールが不十分となりますので、歯石もつきやすくなります。

理想的な歯間部清掃法

理想的な歯間部の清掃器具は、デンタルフロスや歯間ブラシです。鼓形空隙が広い場合は歯間ブラシ、そうでない場合はデンタルフロスがおすすめです。どちらも、歯面に沿わせて擦るように往復させて使うのがポイントです。

デンタルフロスの選び方

デンタルフロスには、糸巻きタイプ、ホルダータイプがあります。
糸巻きタイプは必要な長さだけ引き出して、指に巻きつけて使うタイプです。低コストなのが利点ですが、慣れるまでテクニックが必要なのが難点です。
ホルダータイプはデンタルフロスがあらかじめF型、もしくはY型のホルダーについているタイプです。前歯部はF型、臼歯部はY型が適しており、初めての方でも簡単に使いこなすことができるのが利点です。その反面、糸巻きタイプと比べると高額なのが難点です。
なお、糸巻きタイプは使い捨てですが、ホルダータイプは洗って何度も使うことができます。
デンタルフロスの効果的な使い方と最適な使用頻度

歯間ブラシの選び方

歯間ブラシには、ナイロンタイプとゴムタイプがあります。
ナイロンタイプは、プラークの除去効率が非常に高いのが利点です。
ゴムタイプはプラークの除去効率ではナイロンタイプに劣りますが、形が自在に変形するために初めての方も奥歯も含めて使いやすいのが利点です。ストレートタイプは前歯部、L字型は臼歯部が適しています。

【まとめ】爪楊枝(つまようじ)は歯に悪い?おすすめの清掃器具も紹介

爪楊枝が歯に与える影響と、理想的な歯間清掃器具の選び方について詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。

この記事のおさらい

  • 爪楊枝は「食べかす」は取れるが、虫歯や歯周病の原因となる「プラーク(歯垢)」は除去できない
  • 先端が尖っているため、歯肉退縮(歯茎が下がる)や歯茎の炎症、出血を招くリスクがある
  • 習慣的な使用は、歯と歯の隙間を広げてしまい、さらに汚れが詰まりやすくなる悪循環を生む
  • 理想的なケアには、隙間の広さに合わせた「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」の使用が不可欠

手軽でコストもかからない爪楊枝ですが、歯の表面をきれいにすることはできず、使い方を一歩間違えると歯茎を傷つけ、歯周病を悪化させる原因にもなりかねません。
毎日のセルフケアにおいて、爪楊枝はあくまで補助的なもの、あるいは緊急避難的なものと考え、本来の清掃には専用の器具を取り入れることが健康な歯を保つ近道です。
「今まで当たり前のように爪楊枝を使っていた」という方は、この機会にフロスや歯間ブラシへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。
適切な道具選びとケアの習慣化により、将来にわたって多くの歯を残し、健康な口内環境を維持することができるようになります。もし口腔ケアのアイテム選び方に迷ったら、歯科医院で自分に合ったサイズを相談してみるのもおすすめです。


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