ホームホワイトニングの効果とやり方の注意点

ホームホワイトニングの効果とやり方の注意点

ホームホワイトニングは、オフィスホワイトニングと違って、歯科医院に頻繁に通院しなくてもできるので、時間のない方や小さなお子さんがいて通院しにくい方にもおすすめのホワイトニング法です。

ここでは、ホームホワイトニングの効果ややり方、注意点をご紹介します。

目次

ホームホワイトニングとは

ホームホワイトニングとは

ホームホワイトニングは、自宅でマウスピースの中に患者さん自身がホワイトニング剤を入れ、毎日2時間から数時間装着することを2週間から6週間程度継続し、歯の表面から歯を白くする方法です。

日本で厚生労働省が認可しているホームホワイトニング製品は、過酸化尿素10%を基本としています。日本で認可されているホームホワイトニング剤は、アメリカではモデルチェンジされた前のもので、多くの新しい、より効果の高いホームホワイトニング剤も開発されています。

これらは、知覚過敏抑制成分を含み、効果を高めるため過酸化尿素の濃度を上げたものや過酸化尿素に加え過酸化水素を含むものなどがあります。

これらのアメリカで販売されているホームホワイトニング製品を個人的に入手し、自己判断でホームホワイトニングを行うと、思わぬトラブルを被ることがあります。ホームホワイトニングは、術前の歯科医師による診査・診断、術前処置を受けてから、歯科医師の指導のもとで行うようにしましょう。

ホームホワイトニングの流れ

ここでは、日本で認可されているホームホワイトニング剤の一般的な使用例を紹介します。実際の術式は、医院や使用薬剤により異なる場合があります。

通院回数は、ホワイトニングのみ行う場合は、カスタムトレー作製のための型取り時とカスタムトレー、薬剤の処方時の2回のみですが、一般的には術前診査や歯の清掃状態の確認、虫歯や歯周疾患の処置と管理、術後管理のために通院回数は増えます。

口腔内診査・歯の色の検査・カウンセリング

口腔内診査で虫歯、歯周病、その他の口腔疾患を診査します。

虫歯や歯周病などが存在していると、不快事項の発現、十分な効果が得られない、知覚過敏の発生などのトラブルが生じる可能性があります。必ず術前処置を受けてから、ホームホワイトニングを行うようにしましょう。

歯の色の診査では、シェードガイドや口腔内写真などを用いて、術前の歯の色調の記録を行います。

最後にカウンセリングを行い、患者さんに適切なホワイトニング方法を決定します。

歯石除去・PMTC・マウストレーの作製

歯石、プラークなどが歯面に付着していないか確認します。これらが付着している場合は、歯石除去やPMTC(専門家による機械を使った歯の清掃)を行います。これは、歯の表面からホワイトニング剤を作用させるにあたって、生活歯(神経のある歯)のホワイトニング法では重要なステップです。

そして、歯の型取りを行い、カスタムトレーを作製します。

マウストレーと薬剤の使用方法の説明

マウストレーをフィッティングします。歯面からの浮きやねじれがないか、痛みがないか、適合を確認します。

そして、歯科医師や歯科衛生士から、トレーの使用法、薬剤の使用法、ホワイトニングの注意点などの説明を受けます。

家庭でのマウストレーの使用

歯の表面から作用する薬剤であるため、歯面をていねいに清掃し、デンタルフロスで隣接面のプラークの除去をします。鏡で歯肉(歯ぐき)に発赤や腫れがないか確認します。

ホワイトニング剤をトレーに適量盛り、トレーを装着します。はみ出した薬剤は歯ブラシや綿棒、ティッシュペーパーなどで除去します。

1日2時間程度トレーを装着し、終了後はよくうがいをして、歯面からホワイトニング剤を除去します。ホワイトニング剤は冷暗所に保管します。

トレーは、使用後十分水洗し乾燥させて、トレーケース内に入れて保管します。トレーは加熱すると変形するので、高温環境に置かないような配慮が必要です。

再来院

2週間程度で再来院してもらい、色調変化、知覚過敏発生状況、トレーの使用状況などを確認し、ホワイトニング効果が現れるまで処置を続けます。通常は2週間で終了するケースは少なく、6週間程度の期間はかかります。

ホームホワイトニングのメリット

ホームホワイトニングは、使い方を守ることで、自宅で安心・安全に手軽に行えるホワイトニングです。

通院の手間と費用負担の軽減

ホームホワイトニングは、自宅で自分の好きな時に好きなペースで手軽にホワイトニングができるため、時間的、心理的負担が軽減できます。歯科医院でマウスピースの作製と薬剤の処方を行えば、頻繁に通院する必要もありません。

また、続けてホワイトニングを行う場合は、薬剤を買い足すだけなので、継続費用を抑えられ、経済的負担が軽減できます。

安全な薬剤でのホワイトニング効果

ホームホワイトニングにおいて主に用いられている過酸化尿素は、唾液中の水分により徐々に尿素と過酸化水素に分解され、過酸化水素が漂白作用を発現します。

多くのホームホワイトニング製品において用いられている10%過酸化尿素では、約3.6%の過酸化水素と約6.4%の尿素が生じ、過酸化水素がさらに分解されて発生したフリーラジカルと尿素の有機質分解作用により漂白作用が発現します。

高濃度の過酸化水素を使用しないので安全性に優れ、また天然歯に近い明るい色調に改善できるといったメリットがあります。

ホームホワイトニングのデメリット

自宅で気軽に行えるホームホワイトニングは人気の高いホワイトニング法ですが、デメリットもあります。メリット・デメリットを理解したうえで、治療を行うことが大切です。

効果の実感が遅い

ホームホワイトニングは、速効性に欠けるため、白さを実感するのに時間がかかります。

知覚過敏のリスク

知覚過敏の発生の可能性があります。知覚過敏の程度は軽微な場合が多く、通常はホームホワイトニングを一時中断することで解決します。

誤った使用法でのリスク

ホームホワイトニングは、患者さんが自宅で行うため、使用法を間違えれば、歯髄(歯の神経)や歯肉への影響などの危険を伴うこともあります。そのため、ホームホワイトニングは、歯科医師の指導のもとで行うことが必要です。

噛み合わせへの影響

ホームホワイトニングは、マウストレーを使用するため、噛み合わせや顎関節に違和感が生じることもあります。歯科医院で歯型を取って作製するカスタムトレーでなく、市販の既製トレーを使う場合は注意が必要です。

オフィスホワイトニングとの違い

オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯科医師の管理下で行うホワイトニングです。

通常、複数回の歯科来院を必要とし、1回の処置時間は30分~1時間を要します。高濃度の過酸化水素を用いるので、ホワイトニング剤から歯肉などを保護した後、光重合ライトなどを照射して漂白します。

オフィスホワイトニングは、速効性があり、すぐに効果を実感できます。また、漂白過程を歯科医師や歯科衛生士が直接監視できるので、正確なホワイトニングが可能です。

ホームホワイトニングの注意点

自己管理のもとに行うホームホワイトニングは、注意すべき点があります。

ホームホワイトニングでは対応できない症例や禁忌症例

まずホワイトニングを行う前に、歯科医院でカウンセリングや口腔内診査を受け、下記の禁忌に該当しないか、判断してもらう必要があります。

絶対的禁忌

  • 無カタラーゼの患者(過酸化水素を分解する酵素を持っていないため)
  • 過酸化水素や過酸化尿素にアレルギーを持つ患者

相対的禁忌

  • 妊婦
  • 授乳中の方

診断により禁忌と判断すされるケース

  • 重篤なテトラサイクリン変色歯
  • エナメル質・象牙質形成不全症
  • 重篤な知覚過敏症

ホワイトニングを希望される患者さんで、被せ物や詰め物まで白くできると考える人は多いですが、ホワイトニングでは、被せ物や詰め物は白くなりません。

また、歯髄処置、あるいは外傷により変色した失活変色歯(神経のない歯の変色)をホワイトニングで白くしたいと希望する場合は、ホームホワイトニングとは違ったホワイトニング法になります。

ホワイトニング後に摂取すべきではないもの

ホワイトニングによりペリクル(歯の表面に存在する被膜)が除去され、感受性が高まり、着色しやすくなるだけでなく、酸により脱灰されやすくなります。そのためホワイトニング終了時はとくに飲食物に気を付けなければなりません。

タバコはもちろん、飲み物ではコーヒー、コーラ、紅茶、お茶、赤ワインなどです。食べ物では、キムチやカレーなどのほかポピドンヨード製剤(イソジンガーグル)によるうがいも要注意です。

しかし、これらをすべて避けることは困難なので、なるべく避けるように、あるいは食後はすぐにうがいや歯磨きをするようにしましょう。

後戻り・ホワイトニング後のケア

オフィスホワイトニングであれ、ホームホワイトニングであれ、後戻りの可能性があります。そのため、ホワイトニング終了後もケアを行う必要があります。定期的にリコールを受け、歯面の汚れやステインの除去、色調の確認を行います。

また、時間が経過すると、必要に応じて再漂白する場合がありますが、この場合には、初回のホワイトニングよりは短時間で明度が回復できます。

【まとめ】ホームホワイトニングの効果とやり方の注意点

ホームホワイトニングは、自宅でマウスピースのなかに患者さん自身がホワイトニング剤を入れ、歯の表面から歯を白くする方法です。

自宅で簡単にできるホームホワイトニングは、自己管理のもとに行うため、注意すべき点もあります。正しく手順を踏んで使用しないと効果が得られない可能性があります。

オフィスホワイトニングの効果と施術の頻度や間隔

参考文献

東光照夫, 古川匡恵. “ホワイトニングに強くなる本”. 2011, クインテッセンス出版株式会社. (参照 2021-02-08)


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