歯の健康に良い食生活とは?歯にいい食べ物と悪い食べ物も解説

歯の健康に良い食生活とは?歯にいい食べ物と悪い食べ物も解説

現在、食に関係する知識を得て、健康的な食生活が送れるようになるための“食育”が注目されています。

実は、歯の健康と食事も密接な関係にあり、歯の健康にいい食べ物もあれば、そうでない食べ物もあります。

そこでこのコラムでは、歯の健康という視点から、歯に良い食べ物や悪い食べ物などについてお伝いたします。

目次

歯の健康と食べ物

歯の健康に良い食べ物とよくない食べ物からご紹介します。

歯の健康にいい食べ物

まずは歯の健康に良い食べ物からです。

①歯質強化食品

資質を強化する食べ物は、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などを含む食べ物です。

乳製品、豆類、藻類、穀類、魚介類などです。

②歯周組織強化食品

歯肉など歯周組織を強くする食べ物は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、タンパク質、鉄などが含まれる食べ物です。

肉類、魚介類、乳製品、野菜類などがあります。

③清掃性食品

歯面の汚れを除去する働きがある食べ物で、食物繊維が豊富な食べ物が当てはまります。

ニンジンやキャベツ、レタス、ごぼうなどの野菜類です。

歯の健康に悪い食べ物

歯の健康によくない食べ物の特徴は、歯の脱灰を促進する、もしくは齲蝕の原因菌に利用されやすい点です。

①酸性食品

pH5.5を下回る食べ物は、エナメル質を脱灰するリスクが高くなります。

レモンなどの柑橘系食物、酢のものなどが該当します。

②停滞性食品

歯の咬合面などに粘着しやすい食べ物です。

ブラッシングしても除去しにくく、齲蝕のリスクが高い食品です。

キャラメル、煎餅、チョコレート、ドライフルーツ、スナック菓子などが当てはまります。

歯の健康と飲み物

飲み物によって、pHは異なります。

水のpHは7.0で、身近な飲み物のほとんどが、水より低いpHになっています。

pHが5.5を下回ると歯のエナメル質が脱灰され始めるため、歯の健康という点からpH7.0から5.5までの飲み物が薦められます。お茶やコーヒー、牛乳などが当てはまります。

一方、スポーツドリンクやジュース類はほぼ全てpH5.5以下、ビールやワインなどのアルコール類も該当します。アルコールは、醸造酒と蒸留酒に分けられますが、醸造酒は糖分を含むため蒸留酒よりハイリスクです。

これらは歯の健康という点から見ると、とてもリスクが高い飲み物と言えます。

歯の健康に要注意な食生活

歯の健康上のリスクとなりうる食習慣、食生活には以下のようなものがあります。

間食が多い食生活

日常的に間食が多いと、口腔内のpHが低い状態が継続するようになります。

pHが低い状態は齲蝕発症のリスク要因ですから、間食が多い食生活は歯の健康上のリスクとなります。

加工食品を好む食生活

あまり噛まなくても食べられる加工食品が広く流通しています。

軟らかいものばかり食べていると、食事のときにしっかり噛むという習慣が身に付かなくなります。噛まない食生活を避けるためにも、軟らかい加工食品ばかり食べる食生活は避けるようにしましょう。

固いものを好む食生活

固い食べ物は、食べるためにしっかり噛まなければいけないことから、歯の健康増進のために硬いものばかり好む方がおられます。

歯が咬耗する原因になりますから、あまりにも固いものばかり好む食生活は注意が必要です。

酸っぱいものを好む食生活

柑橘系の果実や酢のものなどのpHの低い食べ物を好む食生活を続けていると、日常的にエナメル質を溶かしてしまう脱灰(だっかい)を続けます。

酸蝕症の原因になりますから、極端に酸っぱいものばかり好む食生活は、歯の健康上のリスクとなります。

歯の健康に密接に関係しているステファン曲線

ストレプトコッカス・ミュータンスなどの齲蝕の原因菌は、ヒトが食事を始めてから3分ほど経つと、食べ物に含まれる糖質を利用して乳酸という酸を産生し始めます。この影響を受けて、口腔内のpHも低くなります。

齲蝕原生菌は歯の表面のプラークの中にいることから、1日のプラークのpHの変化を測定することで口腔内のpHの変化を評価したグラフがあります。このグラフをプラークのpHを世界で初めて測定したステファンの名前をとって、ステファン曲線もしくはステファンカーブと呼んでいます。

ステファン曲線によりますと、プラークのpHは食後急激に低くなり、唾液の緩衝作用でしばらくすると元の状態に戻っていきます。pHが戻るには一定の時間が必要ですから、間食などの食事の回数が増えると、その度に低くなったpHが回復する時間が足りなくなります。ステファン曲線を見ると、食事の回数が多い人ほど、pHが低い状態が長く続くことがわかります。

正しい食習慣で歯の健康を改善

食習慣、食生活の中にも歯の健康を増進するカギがあります。

噛む習慣

咀嚼、すなわち噛むという刺激は、唾液の分泌を促進します。唾液には、アミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼは、デンプンをデキストリンを経てマルトースにまで分解する作用を持っています。

食べ物をしっかりとよく噛んで食べると、唾液の分泌が促進されるため、食べ物が消化されやすくなります。また、唾液の洗浄作用、緩衝作用、再石灰化作用などにより歯の健康も高められます。

食事のときは、ゆっくりとよく噛むように心がけましょう。

規則正しい食生活

ステファン曲線を見るとわかりやすいのですが、食事の回数に比例して、低pHの時間が増えてしまいます。しかも、低くなったpHを中和するのも難しくなってきます。

食事は、ダラダラと長い時間かけて食べるのはやめ、朝食・昼食・夕食、そして間食の時間をある程度決めて、それに沿った規則正しい食生活を送るようにしましょう。

就寝前の食事は避ける

睡眠中は、唾液の分泌量が減少します。このために、唾液の洗浄作用、再石灰化作用、緩衝作用など、歯の健康に重要な機能が発揮できなくなります。

就寝前の食事は、齲蝕症の発症リスクを高めるため、避けるようにしましょう。

固いもの軟らかいもののバランスの取れた食生活

固いものばかり食べる、反対に軟らかいものばかり食べるのではなく、両者をバランスよく食べるようにしましょう。

アルコールの飲み方

蒸留酒を割って飲む場合、レモンなどの柑橘系炭酸水で割るのではなく、水割り、お湯割り、フレーバーなしの炭酸水で割ると歯の健康リスクが低くなります。

【まとめ】歯の健康に良い食生活とは?歯にいい食べ物と悪い食べ物も解説

このコラムでは、歯の健康と食べ物や飲み物の関係についてお伝えしました。

歯の健康と食べ物、飲み物、そして食生活などは密接な関係にあります。また歯の健康にとって口腔内のpH管理は重要です。頻度の多い間食は控え、規則正しい食生活をするようにしましょう。

これを機会に食べ物や飲み物などの食生活を見直して、歯の健康を増進しましょう。


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