インビザラインなどの歯列矯正で動的治療という歯を動かすステップが終わったら、保定という歯を動かなくするステップに移ります。
このとき保定装置(リテーナー)というものを使用しますが、保定は矯正後の歯列を維持するために非常に重要なステップではあるものの、いつまでやればいいのか、一日中つけるものなのか夜だけつければいいのか、わかりづらいものでもあります。
この記事では、インビザラインのリテーナーはどの程度をいつまでつけるのか、また装着時の痛みや費用についてを解説します。
この記事を読むことで、ビベラリテーナーをはじめインビザラインのリテーナーの種類と装着期間(保定期間)、基本的な注意点等を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
- リテーナーはいつまですればいい?
- リテーナーを使って痛みが出ることはある?
- リテーナーに種類はあるの?
目次
リテーナーの装着時間・装着期間
インビザラインの動的治療が終了して保定に移ると、これまでの装置から保定装置(リテーナー)に矯正装置も移行します。
動的治療が終了したばかりの段階の歯は非常に動きやすい(位置が変わりやすい)ため、思わぬ歯の動きをしたり、後戻りをしたりしないように動きを抑えてやる必要があります。
歯を動かす動的治療とは逆に、保定は歯を動かないようにする治療といえます。そのため、リテーナーを使用する時間は動的治療と同じように1日中可能な限り長く、取り外し式なら食事とブラッシング時以外)、期間は動的治療と同等程度あるいはそれ以上を必要とします。
リテーナーで痛みが出ることは?
リテーナーは歯を動かないようにするための器具なので、動的治療のときのように歯が動かされて痛みがでるということはありません。しかし、装着時に圧迫感を感じることはよくあります。
また、思わぬ歯の移動や後戻りが発生し始め、歯の位置が動的治療終了時(リテーナー作製時)からわずかに動いてしまうと、リテーナー装着時に歯が押される感じがしたり場合によっては痛みが出てしまうことがあります。
頻度は高くありませんが、リテーナーが歯肉を圧迫したり傷つけたりすることで痛みが出てしまうこともあります。
リテーナーの種類
リテーナーにはさまざまな種類があり、それぞれにメリット、デメリットがあり、ケースに応じて選択します。
ビベラリテーナー
インビザライン専用のリテーナーです。
動的治療時のアライナーより硬く、耐久性が向上したマウスピースタイプのリテーナーです。インビザライン同様に見た目にはほとんどわからず、使用感も動的治療中とほとんど変わりません。咬み合わせのタイプにより、上下に装着する場合と上だけに使用する場合とがあります。
費用は、医院によりインビザライン治療の料金に含まれている場合と別途料金のかかる場合があります。別途料金が発生する場合は3~5万円程度かかることが多いようです。
ベグタイプ、ホーレータイプリテーナー
プレートタイプとまとめて呼ばれることもある、着脱式のリテーナーです。上顎に用いることが多いものですが、下顎に用いることもあります。
歯列の内側からはレジンのプレートで支え、外側からはワイヤーで押さえる構造をしています。歯列全体の動きを抑え、咬み合わせのずれを起こさないようにしていきます。
費用が歯列矯正の料金に含まれていない場合は、下顎の保定装置と合わせて38,500円〜88,000円程度かかるようです。
スプリントタイプリテーナー
犬歯から犬歯(あるいは第一小臼歯)までに装着する着脱式のリテーナーです。基本的に下顎に使います。歯を表と裏から支えるレジン部分と、装置が外れないように保持するための入れ歯のツメのような金具とからなります。
インビザライン後に用いられることは少ないですが、ワイヤー矯正では使用することがあります。
犬歯から犬歯までの動きを抑えることで、歯列全体の動きも抑えられるという考え方の装置です。リテーナーではあるものの、軽度の後戻りであれば補正することもできるため、前歯部の叢生(ガタガタの歯並び)を治療した後や、わずかな後戻りがある場合に用いられることが多いです。
費用が歯列矯正の料金に含まれていない場合は、上顎の保定装置と合わせて38,500円〜88,000円程度かかるようです。後戻りなどで着脱不能になり、作り替えの際には1.2万円程度かかることがあります。
固定性リテーナー
フィックスタイプとも呼ばれ、犬歯から犬歯(あるいは小臼歯)までを裏側からワイヤーとボンドで固定する保定手段です。下顎に採用されることが多いです。考え方としては、スプリントタイプと同じです。
自分で着脱することはできませんが、着け忘れなどによる後戻りを確実に防ぐことができます。歯と歯とを連結固定しているため、固定されている歯はフロスを通すことができず、固定装置の影になる部分のブラッシングを丁寧に行う必要があります。
費用が歯列矯正の料金に含まれていない場合は、上顎の保定装置と合わせて38,500円〜88,000円程度かかるようです。
部分的に歯からボンドが剥がれてしまったり、ワイヤーが途中で折れたりした際には修理が必要となり、数千円程度かかることが多いようです。
リテーナー装着時の注意点
リテーナーは歯を動かすものではありませんが、矯正装置のひとつであるため、取り扱いには動的治療の装置と同じように注意が必要です。
まず、着脱式の装置は可能な限り長い時間装着する必要があります。基本的には、食事とブラッシング時以外は装着し続けることになります。
ほとんどのリテーナーはレジンが多く用いられるため、汚れがつきやすいです。十分な清掃が行えないと、リテーナーを装着していることによる歯肉炎を起こしたり、虫歯のリスクが上がります。少なくとも起床後と就寝前にはリテーナーの清掃をし、1日1回洗浄剤を使用するようにします。
リテーナーが破損すると、本来の機能を発揮できず後戻りの原因となり得ます。亀裂を目視したり、違和感を覚えたときは、なるべく早く担当医に相談するようにします。
リテーナーが装着しづらくなったら?
それまで使用できていたリテーナーが、きつくて装着しづらくなったり、装着できなくなったときは、歯が動的治療終了時の位置から動いてしまった可能性があります。
原因としては、リテーナーの使用時間不足や不適切な使用、捻転歯の後戻り(再捻転)、マウスピースタイプリテーナーによる圧下など、さまざまなものがあります。
いずれにせよ、なるべく早く担当医に伝えて対応をするようにしましょう。自己判断でリテーナーの使用を中止することだけはしないようにします。
【まとめ】インビザラインのリテーナー (保定装置) はいつまでつける?【保定期間・時間・種類・費用・痛み】
リテーナーは、歯列矯正後の歯を動かなくするための矯正装置と言えるものであり、それぞれのケースに合わせて何を使用するかが選択され、適切な使用が求められます。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
- リテーナーは動的治療期間と同程度かそれ以上の使用が推奨される
- リテーナーもアライナー同様に適切に使用する必要がある
- リテーナーには様々なタイプがある
- リテーナーの装着にトラブルがあったらすぐに担当医に相談する
動的治療後がそろそろ終わりそうという方はもちろん、これからインビザラインや歯列矯正を検討している方は、歯列矯正後の保定についても知っておくとよいでしょう。