理想の歯並びと噛み合わせとは?

理想の歯並びと噛み合わせとは?

理想の歯並び・噛み合わせとは、一体どのようなものなのでしょうか。

歯の大きさや形状はとても複雑で、ただまっすぐに並んでいるだけでは理想的とはいえません。また、三次元的なバランスも求められます。

この記事では、理想の歯並びと噛み合わせの状態とそれにどのようなメリットがあるのかを解説していきます。

この記事を読むことで、正しい歯並びと噛み合わせを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

  • 理想の歯並びはどのような状態なの??
  • 噛み合わせが良い状態とは?
  • 歯並びが良いことで、どのようなメリットがある?
  • 噛み合わせが良いことで、どのようなメリットがある?

目次

理想の歯並びとは

まずは、理想の歯並びについて解説します。

歯並びは歯列ともいい、顔の正面から見た状態、側面から見た状態、そして、口を開けて咬合面から見た状態から判断(診査)します。

正中線が合っていること

正中線とは、体を正面から見た場合、中央を縦にまっすぐ通る線のことです。

歯の正中線とは、中切歯と呼ばれる真ん中の大きめの歯2本の間を通る線であり、まずはこの線が上下顎で合致しているか。そして、その線が頭部の正中線とも一致することが理想的といえます。

歯と顎骨のバランスが適正であること

歯は顎骨の中に植立しています。そのため、歯と顎の大きさのバランスが重要になってきます。

顎の大きさに対して歯が大きすぎると、叢生、つまり顎の中に歯が一列に並ぶことが出来ずに、列が乱れてデコボコになってしまいます。八重歯も叢生の一種で、歯列に入り切れなかった犬歯が外側寄りに萌出してきている状態です。

これは歯が大きすぎる場合と顎が小さすぎる場合、両方に起こります。

顎の大きさに対して、歯の大きさが小さすぎると、歯と歯の間にすき間が出来てしまいます。前歯の真ん中にすき間が生じる「正中離開」も、この原因であることが多いのです。

これも歯が小さすぎる場合と顎が大きすぎる場合、両方に起こります。

顎骨の中に、全ての歯がすき間なく一列に並んでいることが、理想の歯と顎のバランスであるということができます。

エステティックライン(E-ライン)

E-ラインとは、鼻の先端とオトガイ部(下顎の突端部)を結ぶ線のことを言い、上唇と下唇がこのラインのやや内側にあることが理想的な横顔とされています。

これは、上顎骨と下顎骨のバランスから成るもので、

上顎骨が下顎骨に対して大きすぎたり(上顎前突≒出っ歯)、

下顎骨が上顎骨に対して大きすぎたり(下顎前突≒受け口)すると、

このE-ラインが成立しなくなります。

この顎骨のアンバランスによる歯列不正の場合は、外科手術による骨切り術を併用して矯正治療を行うことがあります。

その場合は、外科手術及びその前後の矯正治療に対して、保険が適応されます。

ラインは自分で簡単に診断できます。

えんぴつなどを鼻の先端と下顎突出部(顎)にあてて、その際に上下口唇が鉛筆につくかつかないかの距離にあれば、理想的なE-ラインであるということができます。

下顎に対して上顎が大きければ、口唇が邪魔をして鉛筆を2点に当てることが出来ません。

また、上顎に対して下顎が大きければ、鉛筆と口唇の間に大きなすき間ができます。

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歯列弓の形

歯列弓とは、歯列を咬合面から見て、前歯の切縁、犬歯の尖頭、臼歯部の頬側咬頭を結んで出来る曲線のことで、理想的にはU字型が良いとされています。

理想の嚙み合わせとは

理想的な歯並びであれば、噛み合わせも理想的な状態になるのでしょうか。

実は、そうではありません。

理想的な歯並びだからといって、噛み合わせも理想的とは限らないのです。もちろん、理想の噛み合わせには、歯並びが整っていることも必要になってきます。

つまり、歯並びが整っていて、その上でしっかり上下の歯が噛み合っていることこそ理想的といえるのです。

では、理想の噛み合わせとはどのような状態なのかをみていきましょう。

オーバージェット・オーバーバイト

オーバージェットとは、上下の前歯の前後的な位置関係のことを指します。

上顎前歯部の切端から、下顎前歯部の表面までの距離を計測し、上顎前歯部が下顎前歯部より23㎜前にあるのが理想的です。この値が大きくなればなるほど上顎前歯部が前方に出っ張っている、もしくは下顎前歯部が舌側に倒れていることになります。

オーバージェットが6㎜以上になると、前歯で食物を噛み切ることが困難になってきます。また、この値がマイナスになるということは、上顎前歯部よりも下顎前歯部のほうが前に出ている、つまり反対咬合ということができます。

オーバーバイトとは、上下の前歯の噛み合わせの深さのことを指します。

上顎前歯部が下顎前歯部に覆いかぶさる状態で、重なり合っている部分が23㎜程度が理想的です。

上顎前歯部が下顎前歯部に深く覆い被さり、下顎前歯部が殆ど見えないような状態のことをディープバイト(過蓋咬合)といい、下顎前歯部の上顎への突き上げや、顎関節への悪影響などが懸念されます。

また、これとは逆に上下前歯部が全く重ならない状態、つまり数値がマイナスになる状態のことをオープンバイト(開咬)といい、常に前歯部にすき間が空いている状態になるため、食事や発音などに支障が出てきます。

臼歯の咬合関係

臼歯部は、上下共にすき間がなく、しっかり噛みあっていることが理想です。

歯の大きさは部位によって異なり、また、前歯などは上下間でも大きく異なります。そのため、前歯の後ろは1歯対2歯咬合。つまり上顎犬歯1歯に対して、下顎の犬歯および第一小臼歯の2歯がバランスよく噛みあっていることが理想的です。

同様に上顎第一小臼歯1歯に対して、下顎の第一、第二小臼歯2歯というように、交互にバランスよく噛み合っていきます。

大臼歯部に関しては、上顎第一大臼歯の近心咬頭と下顎第一大臼歯の近心咬頭が、しっかり噛み合うことが理想的となります。

左右のバランス・歪み

最後に、臼歯部の左右のバランスです。

顎関節は上下に動くだけではなく、前後左右にも動きます。そのため、片側での噛み合わせが整っていても、左右での噛み合わせの高さが異なっていると、下顎を左右に動かした際に、どちらかが強く当たってしまうことになります。

簡単なチェック方法としては、割りばしを横向きにし、左右の出来るだけ奥のほうで軽く噛みます。この際、割りばしが地面に対して水平であれば理想的な左右バランスといえるでしょう。割りばしが地面に対して大きく傾く場合は、臼歯部の左右の高さにずれが生じているということができます。

理想の歯並びを得ることによって生じるメリット

理想の歯並びを得ることによって、どのようなメリットがあるのか、みていきましょう。

う蝕、歯周病の罹患率が低下する

歯並びが整っていると、自浄作用が働くために食物残渣が残りにくくなります。また、ブラッシングもしやすくなるために、う蝕や歯周病になるリスクが少なくなるのです。

歯並びが悪いと、食物残渣が停滞しやすくなります。また、ブラッシング時に歯ブラシが届きにくい箇所などが出てくるために、う蝕や歯周病のリスクが高くなります。

正しい発音が出来る

歯と歯の間から息が漏れたりしないことによって、正しい発音をすることができます。また、歯列弓が整っていることによって、舌の動きもスムーズになります。

自己肯定感の向上

歯並びが悪いと、そのことがコンプレックスになりがちです。人前で大きな口を開けることに抵抗を感じる方も多いでしょう。

歯並びが良いことによって、自身の第一印象に自信を持つことができ、積極的になれる傾向が強いといえます。また、矯正治療を経て理想の歯並びを得た場合は、長期間の矯正治療をやり遂げたという充足感と矯正期間の努力とその結果として整った歯並びを得る成功体験を通して、自己肯定感の向上に繋がることが多いようです。

表情が豊かになる

歯並びに自信を持つことが出来ると、人前で思い切り笑うことが出来ます。笑顔が多くなり、そこから表情が豊かになる傾向にあります。

理想の噛み合わせを得ることによって生じるメリット

理想の噛み合わせは、理想の歯並びの上に成り立っているということができます。

では、理想の歯並び・噛み合わせを得ることによって、どのようなメリットがあるでしょうか。

免疫力の向上

しっかりと食物を咀嚼することによって、唾液の分泌が促進されます。それによって、口腔内の自浄作用が働き、食物残渣の停滞を防ぎます。

また、唾液中の酵素の働きにより、う蝕・歯周病が予防されます。

口腔内だけではありません。

唾液中にはIgAという免疫抗体が含まれており、全身の感染症の予防にも繋がります。

胃腸系への負担軽減

しっかりと咀嚼することによって消化を助け、胃腸の働きを活発にします。

また、脳の満腹中枢が刺激されるため、食べすぎを防止することができ、肥満予防にも繋がります。

顔面のバランスが良くなる

噛み合わせが良いと、左右均等に筋肉を使うことが出来ます。それによって、成長期には顎顔面のバランスの良い成長が促進されます。

また、成人においても口元の歪みなどが生じにくく、均整の取れた表情筋の使い方が出来るようになります。

顎関節症のリスク低下

顎関節は蝶番の働きをします。

建付けの良い家具は壊れにくいのと同様、正しい噛み合わせは顎関節症のリスクを低下させます。

【まとめ】理想の歯並びと噛み合わせとは?

理想の歯並びと噛み合わせ、それによって得られるメリットについて解説しました。

この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。

  • 理想の歯並びとは、正中線が合っており、歯と顎のバランスが取れていること、顎骨の中に歯がすき間なく一列に並んでいること
  • 噛み合わせが良いとは、上下の歯の位置関係が適切であり、上下の臼歯が1歯対2歯のバランスで噛み合っていること
  • 歯並びが良いことで、う蝕・歯周病の予防となり、また精神的にも自信を持つことが出来る
  • 噛み合わせが良いことで、口腔内だけでなく全身状態の機能向上にもつながる

理想的な歯並び・噛み合わせは、見た目だけではなく、その後のQOL(Quality of Life生活の質)の向上につながります。

歯並び・噛み合わせについて気になることがあれば、まずは歯列矯正を扱っている歯科医院に相談してみましょう。


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