Eライン(エステティックライン)とは?チェック方法と横顔美人の基準

Eライン(エステティックライン)とは?チェック方法と横顔美人の基準

顔貌の正面は鏡でチェックすることが多いですが、意外と忘れがちなのが横顔です。

美人とよばれる方々は、正面顔貌だけでなく側貌、つまり横顔も整っています。

側貌が綺麗かどうかをチェックする基準のひとつがEラインです。

Eラインとは、いったいどのような指標なのでしょうか。

今回は、Eラインについてご説明します。

目次

Eライン(エステティック・ライン)とは?

Eラインとは、Esthetic-Line(エステティック・ライン)の略です。

Eラインは鼻尖とオトガイを結ぶラインを指し、Eラインと口唇の位置関係を比較することで口元の突出感の評価に用いられます。

人の側貌を評価する指標のひとつとして、1954年に矯正歯科医師であるロバート・リケッツ(Robert Ricketts)により提唱されました。

Eラインの分析方法

Eラインは、側貌を写真撮影し鼻尖とオトガイを一本の直線で結ぶと簡単に評価できます。

Eラインの分類

鼻尖とオトガイを結ぶラインと口唇の位置関係から、Eラインは3つに分類されます。

ストレートタイプ

ストレートタイプは、鼻尖とオトガイを結ぶライン上に上口唇と下口唇が一致しているタイプです。

Eラインよりごくわずかに口唇が下がっている状態が一般的に理想とされていますが、Eラインが提唱された欧米人と比べると日本人は鼻が低いため、日本ではストレートタイプも理想的なEラインに含められています。

コンベックスタイプ

コンベックスタイプは、鼻尖とオトガイを結ぶラインよりも口唇が前方に突出しているタイプです。

コンケイブタイプ

コンケイブタイプは、鼻尖とオトガイを結ぶラインに口唇が達していないタイプです。

Eラインに関係する要因

Eラインと口唇の位置関係に大きく影響する要因として、歯槽性、骨格性、鼻性の3つがあります。

歯槽性

歯槽性の要因としては、前歯の唇側傾斜や唇側転位などの不正咬合が挙げられます。

骨格性

骨格性の要因としては、上顎前突症や下顎前突症などの過成長によるものと、反対に劣成長によるものがあげられます。

鼻性

鼻尖の高さが低くなると、Eラインが下がるためにコンベックスタイプになります。

Eラインへの歯科的アプローチ

Eラインと口唇の位置関係の調和が取れていない場合の歯科的アプローチは、不調和をもたらした原因によって治療法が異なります。

歯槽性

歯槽部の異常、つまり不正咬合によりEラインと口唇の位置関係の調和が取れていない場合、矯正歯科治療により歯列の状態を整え、Eラインと口唇の位置関係の調和を獲得します。

矯正歯科治療の方法は、マルチブラケット法と可撤式アライナー法、インプラント矯正に分けられます。

マルチブラケット法は、歯に装着したブラケットと弾性ワイヤーの作用で歯を移動させる矯正治療法です。

マルチブラケット法は、審美性や食事、ブラッシングなどに難点がありますが、後述する顎矯正外科手術の術前矯正にも用いることができるほど適応範囲が広いのが利点です。

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可撤式アライナー法は、マウスピース法ともよばれる、透明なマウスピースを定期的に交換することで歯を移動させる矯正治療です。

可撤式アライナー法は、目立ちにくいため審美性が優れている上、食事やブラッシングなど、必要に応じて取り外せるのが利点ですが、マルチブラケット法ほど適応範囲は広くなく、自己管理が重要となる点が難点です。

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インプラント矯正は、歯科矯正用アンカースクリューを使った矯正治療法です。

チタニウム合金製のアンカースクリューを任意の場所に埋入し、矯正治療の固定源にして歯を移動させます。

大臼歯を固定源としていた今までの矯正治療では困難だった歯列の後方への移動が、効率的にできるようになったのが利点です。

骨格性の上顎前突症であっても軽度ならインプラント矯正で改善できます。

骨格性

上下顎骨の変形、すなわち、骨格性下顎前突症や下顎後退症、骨格性上顎前突症や上顎後退症など顎変形症が原因の場合は、上顎骨や下顎骨の骨切り手術、つまり顎矯正外科手術が必要です。

これら骨格的な形態上の不調和を認める顎変形症では、矯正治療だけではEラインを改善できないからです。

下顎前突症や下顎後退症に対しては、下顎枝矢状分割術や下顎枝垂直骨切り術が行われます。

下顎枝矢状分割術は、下顎骨を下顎角部で内・外側に分割して、骨体部を後方へ移動させる術式です。

下顎枝垂直骨切り術は、下顎枝を垂直的に分割して、骨片を移動させる術式です。

どちらも下顎骨の位置変更の自由度が高いのが利点で、骨片の移動量などによって術式が選択されます。

上顎骨に対する顎矯正外科手術は、Le FortⅠ型骨切り術や上顎前方歯槽部骨切り術が行われます。

Le Fort1型骨切り術は、上顎骨の劣成長に適応がある骨切り術です。

Le FortⅠ型骨切り術では、上顎の骨切り術後の骨片の移動は前方方向は容易ですが、後方移動は下行口蓋動脈があるため困難です。

上顎前方歯槽部骨切り術は、上顎前突症に加え、上下顎の歯槽幅経に調和が取れていない場合や開咬症の治療に適応があります。

多くの場合、第一小臼歯を抜歯して、そのクリアランスを利用して上顎前歯部骨片を後方移動させます。

歯科治療以外のEラインへのアプローチ法

歯科治療以外のEラインと口唇の位置関係を改善する方法では、Eラインを構成する要素のひとつである鼻尖の高さを改善する隆鼻術が行われます。

隆鼻術は、歯列や顎骨に異常がなく、鼻尖の高さが口元やオトガイと比較して低いと考えられる場合に適しています。

ヒアルロン酸注入法

鼻筋にヒアルロン酸を注入し、鼻尖を高くする方法です。

ヒアルロン酸注入法は、安全性も高く、処置時間も短いのが利点です。

一方、ヒアルロン酸は少しずつ吸収されて無くなっていきますので、定期的に注入する必要があります。

プロテーゼ隆鼻術

シリコン製のプロテーゼを鼻腔内から挿入する処置です。

鼻腔内から挿入するので瘢痕は目立ちませんし、効果も半永久的に続きます。

一方、腫脹や疼痛などの炎症反応が数日続くこと、1か月程度の安定期間が必要であること、数日はメイクも避けなければならないことなどが難点です。

Eラインへのアプローチと保険診療

我が国の健康保険制度は、病気の治療を対象としたもので、美容は対象外となっています。

そのためEラインと口唇の位置関係を整えるさまざまな方法についてご紹介しましたが、いずれの方法も保険診療の給付対象外となっています。

【まとめ】Eライン(エステティックライン)とは?チェック方法と横顔美人の基準

今回は、Eラインを使った側貌の評価法と、調和が取れていない場合の治療法についてお話ししました。

理想的とされるEラインは、ストレートタイプです。

ストレートタイプでない場合の改善法は、原因によって下記の3つに分類されます。

  1. 歯槽性
  2. 骨格性
  3. 鼻性

歯槽性に対しては矯正歯科治療、骨格性に対しては顎矯正外科手術で改善ができます。

いずれの方法にもさまざまな選択肢があります。

このように、Eラインと口唇の位置関係を整える方法はいろいろありますから、まずは、Eラインと口唇の不調和の原因を確認することが大切です。


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