「毎日欠かさず歯を磨いているのに、なぜか歯が黄色く見える…」「昔に比べて歯の白さが失われてきた気がする」と悩んでいる方は少なくありません。白い歯は清潔感や若々しい印象を与えますが、反対に黄ばんだ歯は、それだけで笑顔の自信を奪ってしまうこともあります。
日本人の歯はもともと少し黄色みを帯びているという特徴がありますが、それ以外にも日常生活の中に歯を黄ばませる原因は数多く潜んでいます。
この記事では、歯が黄ばんでしまう主な原因(外因性・内因性)と、それらを防ぎ、改善するための具体的な対策を詳しく解説します。
この記事を読むことで、自分の歯がなぜ黄ばんでいるのかという根本的な理由を特定し、日々のケアや歯科医院での治療によって白い歯を取り戻す方法を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問が解決
- なぜ毎日磨いていても歯が黄ばんでしまうのか?
- コーヒーやタバコなど、特定の嗜好品がどう影響しているのか?
- 加齢によって歯の色が変化するのは防げないのか?
- セルフケア(ブラッシング)だけで黄ばみは落とせるのか?
- 歯科医院で行うクリーニングとホワイトニングにはどのような違いがあるのか?
目次
歯の黄ばみの原因
歯の黄ばみの原因は大きく2つに分けられます。
歯の外側に原因のある外因性と、歯の内部や構造そのものに原因のある内因性です。
食品等由来の色素(外因性)
外因性の歯の着色の大部分を占め、歯の黄ばみの原因となります。この中にはポリフェノールなど食品由来の色素のほか、タバコのヤニやポビドンヨードなどのうがい薬によるものも含まれます。
人間の歯の表面には、ペリクルという非常に薄いタンパク質の膜が張っています。ペリクルは人間の歯を酸から守るコーティング層として機能しますが、一方で色素が歯に付着する足がかりとしても機能します。
このペリクルは除去しても数分以内に再び作られてしまうため、歯の表面は必ず着色が起こり得る状態になっていると考えて問題ありません。また、ペリクルは歯を酸から守るコーティング層として機能するといっても、その機能はそこまで強いものではなく、身近な例では果物や炭酸飲料など食品に含まれる酸でも、歯の表面は容易に影響を受けます。
酸に晒された歯の表面はすりガラスのような状態となり、無数の細かい凹凸が生じます(これを脱灰といいます)。歯の表面で脱灰が起こっても時間が経つと唾液の成分によって修復されますが、脱灰した表面に色素がついたまま修復されるとエナメル質に色素が取り込まれることになり、これも歯の黄ばみの原因となります。
プラーク(外因性)
プラークとは、歯科では歯についた汚れ等を餌にして増えた菌の塊のことです。
プラークの中には様々な種類の菌があり、中には色のついた代謝産物を作るものもいます(色素産生菌と呼びます)。この代謝産物は黄色や飴色、オレンジ色などをしており、これらが歯の表面にこびりついていると歯が黄ばんで見えます。
加齢(内因性)
加齢は歯の変色、特に黄ばんで見えるようになる原因のひとつです。
歯のエナメル質は、歯が生えてから長い時間をかけて結晶が成熟していき、透明度が増します。
歯の象牙質は加齢とともに黄色調が増していきます。この結果、外側(エナメル質)は透明で内側(象牙質)は黄色や黄土色という状態になっていき、歯が黄ばんで見えるようになります。
薬剤による色素沈着(内因性)
現在ではあまり見ることはありませんが、歯が作られる時期にテトラサイクリンという薬剤を使用していると、その薬剤が歯や骨に沈着し、歯の変色をきたします。
テトラサイクリンによる変色は、薬剤の使用時期と歯の形成時期の影響を受けるため、縞条に現れます。程度が軽いものでは黄ばみ程度ですが、重度のものでは青紫色や暗青色といった色となります。
生まれつきや歯の形成不良(内因性)
人間の肌に個人差があるように、歯の色にも個人差があります。
エナメル質の厚みや表面性状、歯の大きさ等いくつもの要素が影響しあうため一概には言えませんが、生まれつき歯が黄色っぽい人や着色が起こりやすい人がいます。また、黄ばみとは少し異なりますが、エナメル質形成不全というものがあり、歯が作られた時点で白いまだら模様ができていたり、黄色や茶色の部分ができてしまうこともあります。
黄ばみへの対策
これまでに見てきたさまざまな原因からなる歯の黄ばみには、どんな対策がとれるのでしょうか?
日々のブラッシング
外因性の歯の着色による黄ばみの予防として、日々のブラッシングは重要です。
目に見えてわかる歯への色素沈着には時間が必要であり、それまでの間に色素を落としてしまえれば着色は起こらず、黄ばみを予防できます。現在はステイン除去の機能を強化した歯磨き粉も市販されているので、それらの製品を使用するのも効果的です。
歯のクリーニング
ブラッシングで食品等の色素沈着による歯の黄ばみの予防はできますが、歯の並び方などの理由からなかなかブラシやフロスを当てづらく、徐々に黄ばんでいってしまう箇所もあります。
歯科医院で行うクリーニングでは、自分では見えない箇所や器具が届かない箇所までペリクルごと着色を除去できるため、外因性の色素による歯の黄ばみを解決することができます。
ホワイトニング
外因性の歯の黄ばみについては、日々のブラッシングでの予防と歯科医院でのクリーニングで解決ができますが、歯の黄ばみが内因性のものである場合には効果がありません。
加齢や生まれつきの歯の黄ばみには、ホワイトニングが有効になります。ホワイトニングは歯の内部(エナメル質内)の色素の除去と、エナメル質での光の反射の具合を変えることで歯が白くなり、黄ばみを改善します。
薬剤による色素沈着にも、軽度のものであれば改善できる場合もありますが、重度の場合にホワイトニングをすると、かえって色素沈着が強調されることになるため注意が必要です。
セラミックによる補綴
薬剤性の色素沈着や重度の形成不全、根管治療後の変色など、ホワイトニングでも対応が難しい場合や対応ができない場合があります。こういったときにはセラミックによる補綴(被せもの等による治療)が有効になります。
この方法では、材質や手法によって程度は異なるものの必ず歯を削ることになります。
【まとめ】歯の黄ばみの原因と黄ばんだ歯にならないための対策と対処法
歯の黄ばみを引き起こす「外因性」「内因性」の様々な原因と、それぞれの状態に合わせた効果的な解決策について詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のおさらい
- 食べ物やタバコによる「着色汚れ(ステイン)」が黄ばみの大きな要因
- 加齢とともに象牙質の色が濃くなり、エナメル質が薄くなることで黄ばみが目立つようになる
- 正しいブラッシングによる予防と、歯科医院での専門的なクリーニングが重要
- 内部からの変色には、ホワイトニングやセラミック治療が有効
- 生まれつきの色や薬剤による影響など、セルフケアだけでは限界があるケースがある
歯の黄ばみは、単なる汚れだけでなく、加齢による構造の変化や体質、過去に服用した薬剤など、複雑な要因が絡み合っている場合があります。原因を正しく知ることは、闇雲にケアをするのではなく、自分にとって最も効果的な「白さを取り戻す近道」を見つけることにつながります。
歯の黄ばみを放置せず、適切な対策を講じることで、清潔感のある明るい口元を取り戻すことは十分に可能です。まずは日々の生活習慣を見直しつつ、落ちにくい汚れや色の変化が気になる場合は、専門家である歯科医師に相談してみましょう。自信を持って笑える白い歯を手に入れて、より輝く毎日を過ごしてください。

