ガミースマイルとは、笑ったときに上顎の歯茎がたくさん見えてしまう口元の状態を指します。このことが原因になり、人前で思い切り笑うことに自信が持てず、笑顔にコンプレックスを抱えている方も少なくありません。
ガミースマイルの治療法は数多く存在しますが、一度の手術で半永久的な効果が期待でき、比較的短時間で完了する「耳介軟骨移植」という方法があります。
この記事では、ガミースマイル治療における耳介軟骨移植手術の具体的な方法、メリット、デメリットを詳しく解説します。
この記事を読むことで、ガミースマイルを改善するための選択肢の一つである「耳介軟骨移植」を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問が解決
- ガミースマイルとは具体的にどのような状態なのか?
- 耳介軟骨移植手術はどのような手順で行われ、なぜガミースマイルが改善するのか?
- 耳介軟骨移植のメリット
- この手術を受ける際のデメリットや、費用に関する懸念点はあるのか?
- 耳介軟骨移植以外に、どのようなガミースマイル治療法があるのか?
目次
耳介軟骨移植とは
耳介軟骨移植手術とは、耳の軟骨を採取し、移植する美容整形手術のことです。
耳の軟骨を鼻と上唇の間に移植することで、移植した軟骨がストッパーのような役割を果たし、上唇の過度な引き上げを抑えるガミースマイルの治療法として用いられます。
他にも、耳介軟骨移植は耳介軟骨を鼻先に移植し、鼻先を高くしたり、前に出すことで鼻の形を整えたりするために用いられることが多いです。
耳介軟骨移植の術式
耳介軟骨移植によるガミースマイル修正手術の一般的な術式を紹介します。手術方法や流れに関しては、患者さんの状況や医院によって異なる場合もあります。詳細は各医院にご相談ください。
1.局所麻酔注射
耳介軟骨を移植する上口唇の部分と、耳介軟骨を採取する部位である耳の裏側に局所麻酔注射をします。注射の前に表面麻酔を塗布したり、細い注射針を用いたりすることで、痛みを最小限に抑えることができます。
2.耳介軟骨の採取
麻酔が効いたら手術を開始します。ここからは痛みを感じることはありません。
耳の裏側を皮膚切開し、耳甲介から軟膏を採取します。採取しても、耳の形が変形したり、耳の機能に影響が出たりすることはありません。
採取後、傷跡は細い糸で縫合します。耳甲介の軟骨を採取した部分に血液が溜まらないように軟膏ガーゼを約1週間詰め、耳表面はガーゼで覆い保護します。
3.上口唇の皮下剥離
採取した耳介軟骨を挿入・移植するためのポケットを作るため、右の鼻の中を数ミリ切開します。
皮膚切開したところから耳介軟骨を移植する範囲(鼻の下から上唇まで)を剥離します。
4.耳介軟骨の挿入
剝離して作成したポケットに耳介軟骨を挿入、留置します。
耳介軟骨がストッパーのような役割を果たし、上唇が必要以上に上がらなくなり、笑ったときに歯茎が見えづらくなります。
鼻の中の傷は細い糸で縫合します。傷跡は鼻の中なので、手術直後でも外から傷跡や縫合してある糸は目立ちません。
5.抜糸
縫合した糸は約1週間後に抜糸します。
耳の軟膏ガーゼや表面の保護ガーゼも、1週間後に除去して抜糸します。傷跡は耳の裏なのでほとんど目立ちません。
耳介軟骨移植のメリット・デメリット
耳介軟骨移植は一度の手術でガミースマイルが改善でき、ボトックス注射のように頻回に治療を行う必要もなく、矯正治療のように治療期間が長期になることもありません。しかし、耳介軟骨移植にも他の治療法と同様にメリット・デメリットがあります。
メリット
耳介軟骨移植は、一度の手術で効果は半永久的に続くとされています。
手術時間は30分~1時間と短時間で改善が望めます。また、手術によって表情が引きつったり不自然になったりすることはありません。もちろん、普段の笑っていないときの顔も手術前と変わることはありません。
また、耳介軟骨移植は局所麻酔下で行うため、日帰り手術が可能です。術後の痛みや腫れも少なく、手術当日からシャワーなども可能な場合が多いです。
切開が耳の裏と鼻の穴の2か所になりますが、どちらも目立ちにくい場所の切開なので傷跡はほとんど目立ちません。
デメリット
耳介軟骨移植はメスを使用するため個人差はありますが、術後1週間程度は腫れが出ます。術後早期は、激しい運動をするなどの血流が良くなり過ぎるようなことは注意が必要です。
また、耳介軟骨移植は美容目的の治療のため、保険適用はされず自費診療となります。料金設定は各医院で異なりますが、30万円程度かかります。詳細は各医院にお尋ねください。
この手術は上唇の皮膚が薄い人などで、移植した軟骨をわずかに触れる可能性があります。しかし、見た目は術前と変わらないので、他人に手術したことがバレることはありません。
その他のガミースマイル治療
ガミースマイル自体は必ずしも治療が必要というものではありませんが、ガミースマイルが原因で笑顔にコンプレックスを感じて悩む人もいます。気にするあまり思いっきり笑えない、それが原因で性格的にも積極性がなくなる、自信が持てなくなるなどの二次的な影響を及ぼすこともあります。
ガミースマイル治療はさまざまな方法があり、審美歯科や美容外科で治療を受けることができます。外科的手術を伴う歯科矯正治療、セラミック矯正、ボトックス注射など、たくさんの治療法があります。
例えば、外科的手術を伴う歯科矯正治療は、骨格に問題がある場合に外科手術によって、顎の位置を適正な場所に移動する治療です。原因を根本から解決できるため後戻りなどはなく、矯正治療と併用することで咬み合わせも改善することができます。しかし、全身麻酔で骨を切るため、身体的負担は大きく、治療期間もかかります。
ボトックス注射は上唇挙筋にボツリヌストキシンを注射することで筋肉の収縮を抑制して、上唇を上げにくくする方法です。1回の処置が安価で外科的侵襲を伴わないため、手軽な治療法ですが効果の永続性はないため、定期的に注射しないと効果が持続しません。
ボトックスでガミースマイルへの効果はどの程度?失敗して不自然にならないポイント
このように、それぞれの治療法にメリット・デメリットがあり、原因によっても適応できる治療法が異なります。仕上がりのイメージや治療を受けるうえで重要視したい点を合わせて、治療法を選択する必要があります。
【まとめ】耳介軟骨移植によるガミースマイルの改善について
ガミースマイルを改善する治療法の一つである「耳介軟骨移植」について詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のおさらい
- ガミースマイルとは、笑った際に上唇が上がりすぎて歯茎が過度に見える口元の状態のこと
- 耳介軟骨移植手術は、耳から採取した軟骨を上口唇に移植し、上唇の過度な動きを抑えるストッパーの役割を果たす
- 耳介軟骨移植は一度の手術で効果が半永久的に持続し、手術時間も短く、日帰りでの対応が可能
- デメリットとして、術後1週間程度の腫れが生じる可能性や美容目的の治療のため保険適用外の自費診療となる
- ガミースマイルの治療法は、耳介軟骨移植以外にも外科的矯正治療やボトックス注射など、原因や希望に応じて複数の選択肢がある
ガミースマイル治療を検討する際は、それぞれの治療法のメリット・デメリットを十分に理解し、ご自身の原因や仕上がりのイメージを明確にしたうえで、専門の審美歯科や美容外科に相談することが大切です。
最適な治療法を選択することで、長年のコンプレックスを解消し、心から笑える笑顔を取り戻せるでしょう。

