八重歯は歯科用語で「叢生(そうせい)」と呼ばれる不正咬合の一種であり、歯が重なり合って生えている状態を指します。最近では、目立たずに治療ができる「マウスピース矯正」を希望する方が増えていますが、「自分の八重歯もマウスピースで治せるのだろうか?」「抜歯は必要なの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、八重歯の原因や放置するリスク、そしてマウスピース矯正による具体的な治療方法や期間を詳しく解説します。
この記事を読むことで、八重歯が心身に与える影響やマウスピース矯正の仕組みを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問が解決
- 八重歯がマウスピース矯正の適応範囲かどうか
- 八重歯を放置することで起こる健康上のリスク
- 歯を抜かずに八重歯を治す方法があるのか
- マウスピース矯正で八重歯を治すのにかかる期間の目安が知りたい
目次
八重歯とは
八重歯は「叢生(そうせい)」と呼ばれる不正咬合の一種です。八重歯は日本では「可愛い」と言われることも多く、チャームポイントのひとつと見なされやすいのですが、欧米ではそうした価値観はなく「なぜ歯並び悪いのを放置しているの?」と不審に思われることが多いとされます。
また、八重歯は「叢生(そうせい)」と呼ばれる不正咬合の一種です。叢生とは草木などが群がって生えることで、歯科用語としては「歯が密集して重なり合うことで歯並びが凸凹したり、ガタガタになったりすること」とされています。具体的には、乱杭歯などを指し、八重歯もそれに近い状態だということです。
八重歯は日本では「可愛い」と言われることも多く、チャームポイントのひとつと見なされやすいのですが、欧米ではそうした価値観はなく「なぜ歯並び悪いのを放置しているの?」と不審に思われることが多いとされます。また「八重歯は犬歯だけのもの」と誤解している人もいますが、ほかの前歯が八重歯になる(歯同士が重なり合う)場合もあり、審美面でマイナスに作用することもあります。
こうした歯列の乱れはマウスピース矯正のもっとも得意とする症例ではあり、どんな歯並びであっても、多くは適応することができるのですが、後述するように顎の形状やサイズに問題がある場合、マウスピース矯正だけでは治療が難しいこともあります。
八重歯のデメリット
八重歯には、虫歯・歯周病・口臭の原因になりやすいというデメリットがあります。また衛生面でも非常に問題が多いようです。さらに人から「歯並び悪いな」などと言われることが多い場合は、矯正治療を検討してみるべきかもしれません。
次に掲げるような健康面・衛生面でのデメリットのことも考えればなおさらです。
咬み合わせが悪くなる
八重歯は特定の歯が大きく前に出ているため、うまく食べ物を噛み切れないなど、咬み合わせ上のデメリットが発生することがあります。こういう場合、奥歯の噛む負担が大きくなり、特定の歯が弱ったり、知覚過敏になったりするリスクがあります。また、咬み合わせの悪さは顎関節にも影響を及ぼす恐れがあります。
単に特定の歯が前に出ているだけであれば、マウスピース矯正による部分矯正で比較的簡単に矯正治療が可能です。
歯磨きがしづらくなる
八重歯がほかの歯と重なり合っている部分は歯磨きがしにくいため、そこに歯垢(プラーク)が溜まって虫歯や歯周病・口臭の原因になりやすいというデメリットがあります。
口腔内の環境悪化
八重歯が唇を前に押すことにより、口が少し開いた状態になりやすくなるのも大きなデメリットです。
口腔内が外気に触れる時間が長くなると、口のなかに空気中の雑菌が入りやすくなり、さまざまな感染症にかかるリスクが高まります。また、唾液が乾燥することで口内の細菌が増殖する原因となり、これも虫歯・歯周病・口臭の原因になりやすいのです。
もしも、虫歯や歯周病が発生している場合、マウスピース矯正を受けるにしても、まずはその治療を優先しなくてはならない場合があります。さらに尖った歯の先で舌や唇を傷つけやすいことから、口内炎などにもかかりやすくなるでしょう。
マウスピース矯正による八重歯の治療法
八重歯をマウスピース矯正で治療する場合、治療はどのようにして進められていくのでしょうか?
歯列を広げるケース
マウスピース矯正は、多くの歯に均質な力をかけることが可能です。
八重歯矯正の場合、前に出た歯を引っ込めるのではなく、歯列全体のアーチを少し外側に広げることで歯と歯の隙間を広げ、その隙間を調整しながらすべての歯をきれいにアーチに沿って並べるという矯正法が選択可能です。 こうすれば抜歯をしなくても済みますが、顎の大きさ以上に歯列を広げることはできませんから、マウスピース矯正にはおのずと限度があるということを理解しておきましょう。
また、無理に顎の骨の外側ギリギリまで歯列を広げると、顔の輪郭の変形など、審美面・健康面で別の悪影響につながる可能性があります。
歯を少し削るケース(ディスキング)
ディスキングとは、矯正治療の手法のひとつで、歯の表面(エナメル層)を少しだけ削り、省スペース化することで歯列がきれいに並ぶスペースを確保し、その後にマウスピースで歯間を詰めていくというものです。
歯のエナメル層にはかなりの厚みがあり、0コンマ数ミリ削る程度であれば虫歯などの心配はないとされています。軽度な八重歯の場合など、あまり多くのスペース拡張が必要ない場合だけに適応できる矯正法です。
抜歯をするケース
マウスピース矯正は「マウスピースを歯に装着し、歯を動かしながら歯列を整えていく」という矯正方法です。このため、歯列を揃えるためには歯の大きさに見合った顎のスペースが必要となります。歯列矯正だけでは十分なスペースが確保できない場合、いずれかの歯を抜いて(第一小臼歯を抜歯することが多い)スペースを作ることが必要になります。
マウスピース矯正による八重歯の治療の期間
一般にマウスピース矯正に必要な矯正期間は2~3年とされており、八重歯でもそれくらいの期間がひとつの目安になると思われます。
ただし、前歯だけの軽度な部分矯正だけで済む場合は、最短で3~6か月での矯正も可能としているクリニックは少なくありません。しかし、急いで歯を動かそうとすると痛みや負担も大きく、後戻りのリスクも高くなります。歯科医師と相談のうえ、無理のない矯正期間を設定することが必要不可欠でしょう。
【まとめ】八重歯はマウスピース矯正で治せるの?
マウスピース矯正による八重歯の治療法や八重歯のデメリットについて詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のおさらい
- 八重歯は「叢生」の一種であり、虫歯や歯周病、口臭のリスクを高める原因になる
- マウスピース矯正は、歯列を横に広げたり隙間を作ったりすることで八重歯を整えるのが得意
- 症状によっては「ディスキング」や「抜歯」を併用してスペースを確保する場合がある
- 治療期間は部分矯正なら数ヶ月、全体矯正なら1〜2年程度が目安となる
かつてはワイヤー矯正が主流だった八重歯の矯正も、現在はマウスピース矯正(インビザラインなど)で対応できるケースが非常に増えています。ただし、顎のサイズや歯の重なり具合によっては、抜歯やディスキング(歯を削る処置)が必要になることもあります。
八重歯を治療することは、単に見た目を美しくするだけでなく、将来にわたって自分の歯を健康に保つことにもつながります。まずは信頼できる歯科医院でシミュレーションを受け、ご自身の歯の状態に最適な治療プランを相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
“矯正歯科について”. 日本矯正歯科学会. http://www.jos.gr.jp/about/, (参照 2026-02-27)

