洗わないとどうなる?マウスピース矯正装置の洗浄方法

洗わないとどうなる?マウスピース矯正装置の洗浄方法

マウスピース矯正を始めたばかりの方や毎日の着脱に慣れてきた方の中で、「水ですすぐだけでは十分じゃないの?」「少し汚れているけれど、見た目は透明だから大丈夫だろう」と油断してしまっている方はいませんか?
マウスピースは、1日のうち20時間以上も口の中に装着し続けるものです。実は私たちが思っている以上に汚れやすく、雑菌が繁殖しやすい環境にあります。もし、適切なお手入れを怠ってしまうと、単に見た目が悪くなるだけでなく、矯正治療そのものの進行を妨げたり、お口全体の健康を損なったりする深刻なリスクを招きかねません。せっかく美しい歯並びを目指しているのに、その過程でトラブルが起きてしまっては本末転倒です。

この記事では、マウスピース矯正装置を洗わずに放置すると起こるトラブル、正しい洗浄のステップ、そしてやってしまいがちな「間違ったお手入れ方法」を詳しく解説します。
この記事を読むことで、清潔なマウスピースを保つための具体的なルーティンと、装置を長持ちさせるコツを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問が解決

  • マウスピースを洗わないと、具体的にどんな病気のリスクがある?
  • 汚れが目立ってきたとき、歯磨き粉を使って磨いてもいいの?
  • お湯で洗うと消毒できる気がするけれど、実際はどうなの?
  • 市販の洗浄剤は毎日使うべき?それとも水洗いで十分?

マウスピース矯正装置を洗浄しないとどうなる?

マウスピース矯正では、マウスピースを食事や歯磨きのとき以外はほぼ1日中装着しておくものですから、口腔の雑菌が繁殖する可能性があります。また、手入れを怠ると虫歯などの歯周病や口臭の原因になり、マウスピース自体も劣化が激しくなります。
そのため、洗浄・除菌などのこまめなお手入れをすることで、こうしたリスクを下げ、矯正治療を快適に進めることができるでしょう。

虫歯のリスクが高まる

マウスピースの内側に食べカスなどが付着すると、虫歯菌によってプラーク(歯垢)化し、酸がつくられることで虫歯の原因となります。なお、虫歯菌は「バイオフィルム」という強固な膜をつくり、その裏側に隠れることで自分たちを守ろうとします。このため、食事の後の歯磨きやフロッシングによって、徹底的にプラークの付着を防ぐ必要があります。もちろん、マウスピースもよく洗浄しなくてはなりません。
なお、人間の唾液には殺菌作用や虫歯菌がつくる酸を中和したり、再石灰化といって歯の表面を再生したりする働きがあるのですが、マウスピースがぴったり歯にくっついた状態では、歯に十分作用することができません。このため、余計にプラークコントロールの必要性が高まるのです。
虫歯を予防するためには、マウスピースの洗浄に加え、ていねいなプラークコントロールを続けることが大事です。プラークコントロールが大切なのはマウスピース矯正時に限ったことではありませんが、矯正中は特に心がけておきたいことです。

口臭がきつくなる

「マウスピース矯正を始めてから口臭がきつくなった気がする」という人がたまにいます。マウスピース自体はもちろん無臭ですが、口臭をきつくする原因にはなり得ます。
人間の口のなかにはさまざまな雑菌がいて、口臭の原因になる菌もそれに含まれています。人間の唾液には抗菌作用があり、これらの菌の繁殖を抑えてくれるのですが、マウスピースを装着していると歯や歯茎に十分な唾液が循環せず、マウスピースの内側などで菌が繁殖しやすくなるのです。このような場合、マウスピースの洗浄と歯磨き・フロッシングなどを徹底することで臭いの元になる菌の増殖を防ぎ、口臭を除去・軽減することができるでしょう。

マウスピース矯正装置が着色する

食べ物や飲み物のなかには、濃い色素を含むものや着色汚れを生じやすい成分を含んだものがあります。たとえば、コーヒーの黒、赤ワインの赤、紅茶・緑茶の渋などは非常に着色性が高く、また喫煙者のヤニ汚れや、ある種のうがい薬もマウスピース着色の原因となります。
このためマウスピース矯正では、マウスピース着用中は食事や水以外の飲み物の摂取が控えるように指示されます。それでも着色してしまった場合は、マウスピースの洗浄が必要でしょう。着色汚れは非常に頑固なので、水洗いだけでなく何らかの洗浄剤が必要な場合もあります。

マウスピース矯正装置の洗浄方法

マウスピース矯正では、定期的(数週間程度)にマウスピースを新しいものに交換していくため、原則としては特別な洗浄方法は必要としていません。それでも臭いや汚れが気になるという人は、次のような洗い方を試してみてください。

流水で水洗い

マウスピース矯正システムによっては、厳密に洗い方・洗浄器具・薬品などを指定されている場合もあるかもしれませんが、多くの場合は「きれいな流水でマウスピースの内側・外側をよく洗い、ふだん歯磨きに使用している歯ブラシを使ってしっかり汚れを落とすだけで十分とされています。 ただし、一時的に保管する場合は専用ケースなどに保管し、長時間放置しないようにしてください。

歯ブラシで薄めの中性洗剤を使い洗う

マウスピース矯正メーカーやクリニックで特に指定の洗浄剤がない場合、市販の中性洗剤を薄めて歯ブラシでこすり洗いをします。また、歯磨き粉メーカーなどからマウスピースまたはリテーナー用の洗浄剤が販売されており、入れ歯洗浄剤のようにつけ置き洗いが可能なものもありますが、内側のくぼみの部分などは歯ブラシなどでしっかり汚れをかき出してください。
洗い方の注意点としては「熱いお湯で洗わない」「洗浄剤は装着前に水でしっかり洗い流す」などが挙げられます。なお、市販の洗浄剤は洗浄力が強いため、インビザラインなど一部のマウスピース矯正では使用を禁止しています。

マウスピース専用の洗浄剤で洗う

マウスピース矯正メーカーが専用の洗浄剤を指定していたり、クリニックが推奨する洗浄剤があったりする場合はそれに従いましょう。洗い方に指定がある場合もそれに従ってください。万が一の際に補償が受けられなくなる可能性がありますので、事前に確認をしておきましょう。

超音波洗浄器を使用

超音波洗浄は、超音波の振動によって物質の表面の異物を剥離させていきます。このため、入れ歯の洗浄などにも用いられ、マウスピースを洗うのに適していると思われます。
マウスピース矯正を行っているクリニックにも、超音波洗浄器を設置しているところは少なくありません。しかし、歯科医師に勧められた場合はともかく、わざわざ超音波洗浄器を購入してまで使うのは考え物です。洗い方や洗浄剤の問題もあるので、歯科医師に相談してから使ってください。

歯磨き粉やブラシの硬さには注意

市販の歯磨き粉には、研磨剤入りの物も売られていますが、マウスピースの洗浄に使うと傷をつけて汚れを溜まりやすくさせるため使わないようにしましょう。また、硬いブラシも同様にマウスピースに傷をつける可能性があるため、柔らかいブラシを使うようにします。

【まとめ】洗わないとどうなる?マウスピース矯正装置の洗浄方法

マウスピース矯正装置を清潔に保つための正しい洗浄方法と、放置することによる健康被害のリスクについて詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。

この記事のおさらい

  • マウスピースを洗わないと、細菌が繁殖し「口臭」「虫歯」「歯周病」の原因になる
  • 研磨剤入りの歯磨き粉や硬いブラシは、装置に傷をつけて汚れを溜まりやすくさせる
  • 装置の変形を防ぐため、熱湯消毒は絶対に避け、水かぬるま湯で洗う
  • 頑固な汚れや目に見えない細菌には専用の洗浄剤が効果的
  • 正しいお手入れを続けることが、治療計画を予定通り進めるために不可欠

マウスピースは非常に精密に作られた装置であり、その透明感や形状を維持することがスムーズな矯正治療の鍵となります。「少しくらいなら…」という油断が、虫歯や歯周病を招き、結果として治療期間が延びてしまう原因にもなり得ます。
毎日の食事の際や寝る前のケアを習慣化し、お口と装置の両方を清潔に保つことが、最短で美しい歯並びを手に入れる近道です。
マウスピース矯正は、患者様ご自身のセルフケアが結果を大きく左右する治療です。正しい洗浄方法をマスターして、清潔で快適な矯正ライフを送りましょう。もし汚れが落ちなかったり、装置に異変を感じたりした場合は、早めに歯科医院へ相談することをお勧めします。


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