PMTCとは?歯のクリーニングの効果とやり方

PMTCとは?歯のクリーニングの効果とやり方

丁寧に歯磨きをしているつもりでも、すべての汚れを除去することは困難です。

取りきれない汚れを歯科医院で除去してもらうことにより、虫歯や歯周病を予防できます。また、歯の表面の着色や汚れを除去することで、より白い歯に近づけることもできます。

ここでは、歯科医院で行われるPMTCなどの歯のクリーニングについて解説します。

目次

歯科医院で行う歯のクリーニングとは

歯科医院で行う歯のクリーニングとは

歯垢(プラーク)は虫歯や歯周病、口臭をはじめとした口腔疾患の原因となります。これらの口腔疾患を予防するには、どれだけ効果的にプラークコントロールができるかがポイントになります。

個人レベルでプラークコントロールが困難な部位(隣接面・歯頚部・最後臼歯部・矯正装置装着部・歯周ポケット・歯並びの悪いところなど)にはプラークが蓄積しやすいです。

歯と歯周組織の健康は、定期的に歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」と日常の「セルフケア」を両立することで、維持することができます。

プロフェッショナルケアのPMTCにより、歯周ポケット内の細菌の大半は除去できますが、3〜4か月後には、また歯周ポケットの菌叢バランスが元に戻ってしまう傾向があります。

定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることが重要です。

スケーリング

歯石は歯垢(プラーク)が石灰化したもので、歯磨きで取り除くことができません。歯石の表面は粗造で、プラークの蓄積を促進し、プラークコントロールが困難になります。また、歯周ポケットに歯石ができると、ポケット内の炎症を増悪させてしまいます。

スケーリングとは、歯科医院でスケーラーという器具を使って機械的に歯石を取り除くことをいいます。

スケーラーには、手用のハンドスケーラーと機械で動くエアスケーラーや、超音波スケーラーがあります。歯石の沈着部位や付着量、歯周組織の状態などを加味して器具を選択します。また歯石の付着量が多い場合は、数回に分けて行うこともあります。

PMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning)

PMTCの定義は、歯科医師あるいは歯科衛生士が専用の器具を用い、すべての歯の表面上に存在するプラークを除去し、さらに歯肉縁下1~3mmまでの歯周ポケット内部まで、バイオフィルムの除去を行い、フッ化物を含むペーストで歯面を清掃する方法とされます。

プラークは、ただ単に歯の表面に付着した細菌の塊というだけではなく、細菌自体が粘着性の高い菌体外多糖を産生して膜を作り、その中で種々の菌が共存する「バイオフィルム」であることが分かってきました。

プラークコントロールが困難な部位に存在するバイオフィルムは、セルフケアでは完全な除去が困難であるといわれています。そのため除去にはPMTCが有効とされます。

 

保険診療と自費診療のクリーニングの違い

歯のクリーニングは、歯垢や歯石などの汚れが付着して歯肉炎や歯周病などの症状がある場合、保険適用になります。歯周ポケットの測定やレントゲン検査などを行い、治療目的での歯のクリーニングが必要だと判断された場合は保険適用となります。

歯肉炎や歯周病などの症状がない口腔内が健康な方の予防目的、または着色除去のような美容目的での歯のクリーニングは保険が適用されません。

保険診療でのクリーニングは、3,000円前後(3割負担の方の場合)で、通院回数は口腔内の状態により個人差がありますが、複数回の通院が必要となります。

自費診療のクリーニングは、各歯科医院で費用設定が異なります。患者さんの希望やお口の状態に合わせた治療方法を選ぶことができます。

例えば、「忙しいので1回の通院ですべての汚れを落としたい」などのさまざまな要望にも、可能な限り対応してもらえるかもしれません。自費診療でのクリーニングをご検討される場合は、事前に歯科医院に問い合わせして、料金などを確認しておくと安心かもしれません。

歯のクリーニングの効果

歯のクリーニングは、虫歯予防ならびに歯周病予防処置として重要なものとなります。また、清掃した後の爽快感などの口腔感覚を実体験し、セルフケアに対する動機付けを強化する効果も期待して行われます。

虫歯や歯周病予防

プラークコントロールが困難な部位に付着したプラークやバイオフィルム、歯石はセルフケアだけでは完全に除去できません。歯のクリーニングでは、虫歯や歯周病の原因となるこれらのプラーク、バイオフィルム、歯石を除去することができます。

また、PMTCを実施した場合は、口腔内のすべての歯面からプラークが除去され、歯面がリセットされた状態になるので、成熟されたプラークが再び付着するまでに多くの時間がかかると考えられています。セルフケアも容易になり、虫歯や歯周病の予防に効果的です。

虫歯や歯周病の発生には、ブラッシングの仕方、歯並び、口腔内の細菌数や種類、唾液の量、年齢など多くの要素が関係しており、これらは患者さん一人ひとり違います。

歯科医院で口腔衛生指導を受けることで、口腔清掃の難しい部位などの問題点を歯科医師や歯科衛生士と共有し、自分に合った正しいセルフケアの方法(ブラッシング、フロス、歯間ブラシ、マウスウォッシュなど)を知ることができます。

また、定期的に歯のクリーニングを受けることで、症状が出る前の虫歯や歯周病の早期発見につながります。早期治療することで、痛みや時間、費用の軽減にもなります。

PMTCでは、フッ化物を塗布します。フッ化物は歯の再石灰化を促進するなどの働きがあり、虫歯予防に効果的です。歯面清掃後に塗布することで、より効果的に歯質を強化できます。

口臭予防

口腔由来の病的口臭の大部分が、歯周病菌をはじめとする口内細菌が作り出したバイオフィルムから発生します。バイオフィルムの除去には、PMTCが有効とされています。また、歯石はプラーク蓄積因子となるので、歯石除去を行うと表面に付着したプラークも除去されます。

口臭には、さまざまな原因が考えられます。なかでも口臭原因菌の大部分は、歯周病の原因菌でもあることから、口臭が気になる場合は歯周病の可能性もあります。口臭が心配な方は、一度歯科医院で診察してもらうようにしましょう。

口臭予防とチェック方法

審美性の向上

PMTCでは、タバコのヤニやコーヒーや紅茶、ワインなどによる着色を除去できます。また、歯面研磨を行うことで、エナメル質表層が滑沢化され、歯本来の白さや光沢を取り戻すことができます。

歯のクリーニングの流れ

歯のクリーニングの基本的なステップは以下の通りです。お口の状態や歯科医院によって、多少異なる場合もあります。

❶プラークの染め出し、口腔衛生指導

プラークは、色が歯と似ているため歯面上の存在の判定が困難です。歯面に染色液を塗布すると、色素でプラークが染色されます。磨き残しの状況をしっかりと把握でき、効果的なブラッシング方法を指導してもらえます。

❷歯面清掃および研磨

歯石が付いている場合は、初めに歯石除去を行います。

研磨剤を注入または塗布します。知覚過敏や根面虫歯の予防の観点から、フッ化物配合の研磨剤を使用する場合も多いです。研磨粒子の粗さによって数種類のものがあり、状況に合わせて選択します。

その後、歯と歯の間(隣接面)、歯の表裏、咬合面の清掃・研磨を行います。隣接面には上下運動をする器具、歯の表裏と咬合面には回転式の器具が使用されます。PMTCで用いる器具はどれも柔らかい素材で、痛みはほとんどありません。

最後に口腔内の洗浄(歯周ポケットの洗浄)によって、残留した研磨剤を除去します。

❸フッ化物の塗布

フッ化物を塗布した場合は、30分間飲食を控えていただきます。

【まとめ】PMTCとは?歯のクリーニングの効果とやり方

歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃をPMTCといいます。

歯科医院で歯のクリーニングを行うことで、歯磨きでは落とせない歯石や磨き残したプラークを中心にすべての歯面の清掃と研磨を行い、虫歯や歯周病になりにくい環境を整えます。

虫歯がなくても定期的に歯科医院を受診する習慣をつけて、歯科医院で歯のクリーニングを受けるようにしましょう。


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