齲蝕や歯周病は予防できる疾患という認識が浸透し、多くの方が定期的に歯科医院を受診するようになりました。その反面、虫歯や歯周病で痛みや腫れが出てから初めて歯科医院を受診するという方も、依然としています。
定期的なメインテナンスを受けるか、トラブルがあったときだけ受診するのか、この違いは一体何なのでしょうか。それは、歯科疾患に対する意識や関心度の高低によるものです。その歯科領域の健康に関する意識の評価法のひとつにデンタルIQがあります。
この記事では、デンタルIQの正体や日本人の歯科意識の現状、そしてデンタルIQが高い人と低い人でどのような差が生まれるのかを詳しく解説します。
この記事を読むことで、自分自身の歯に対する意識レベルを客観的に把握でき、健康な歯を長く保つために今何をすべきかという具体的な行動指針を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問が解決
- デンタルIQとは、専門的な知識の多さを指すものなの?
- 日本人のデンタルIQは、年代や性別でどのくらい違う?
- デンタルIQが高い人と低い人では、普段の歯のお手入れにどんな差がある?
- 歯のトラブルが起きたとき、意識が高い人はどう動く?
- 自分のデンタルIQを手軽にチェックする方法はある?
目次
デンタルIQとは
一般的にIQは、知能検査として知られています。
デンタルIQも“IQ”とありますから、歯科や顎顔面系の疾患などに対する専門的な知識レベルの高さを問うものと思われがちですが、実はそうではありません。
デンタルIQは、歯や口腔の健康状態についての関心度合いの高さを示す言葉です。したがって、専門知識の有無はデンタルIQに関係ありません。
デンタルIQに関する意識調査の結果
令和03年11月8日、公益社団法人日本歯科医師会が全国の20代〜60代の男女1万人を対象に「デンタルIQに関する意識と実態調査」を行いました。
参照元:デンタルIQは“歯とお口の健康への関心・意識の度合い”. 公益社団法人日本歯科医師会
デンタルIQの認知度
これによりますと、デンタルIQという言葉の認知度は2割にとどまりましたが、言葉の意味を説明すると9割が重要であると判断しました。
なお、デンタルIQという言葉を知っていると答えた2割の方々でも、その意味については3割ほどの方しか正しく理解できていませんでした。
デンタルIQのレベル
デンタルIQが実際どれくらいかもチェックされました。
質問数は15問で、正解数の平均は10.2問でした。正解数が12以上をデンタルIQ高め、9以下をデンタルIQ低めとすると、男性30代が最も低く、次いで男性20代でした。反対にデンタルIQが高かったのは、女性60代が最も高く、女性50代が続きました。
デンタルIQと歯科健診の関係性
デンタルIQが高い人の4割は、少なくとも1年に1度は歯科で定期健診を受けています。一方、デンタルIQが低い人では、1年に1回以上定期健診を受けている人は2割強ほどでしかありませんでした。
また、デンタルIQの高い人は、歯間ブラシやデンタルフロスを日常的に使ってプラークコントロールに努めているようです。
歯の定期検診に行かないとどうなる?おすすめの通院頻度や費用についても解説
デンタルIQと歯科疾患の関係性
デンタルIQと歯科疾患には何らかの関係性があるのでしょうか。
セルフケアの実践状況
2大歯科疾患とも言える齲蝕症や歯周病の発症には、日常のセルフケアが大いに関係しています。
具体的には「歯間部や歯肉溝のブラッシング」「しっかりと咀嚼する」「フッ化物配合歯磨剤を使う」「鼻呼吸」などです。こうしたセルフケアが正しく実践できている人は、齲蝕症や歯周病の発症リスクが低く抑えられることが明らかになっています。
デンタルIQとの関係性で見ると、デンタルIQが高い人ほどセルフケアができています。デンタルIQの低い人は総じてセルフケアができておらず、たとえば「歯間部や歯肉溝のブラッシング」や「鼻呼吸」で比べてみるとおよそ2割ほども低くなっています。
歯科領域の健康知識の認知度
「噛むことと認知症の関係性」「噛むことと消化機能の関係性」「歯列不正と歯科疾患の関係性」「8020と健康寿命との関係性」など、歯科領域の健康知識に関する認知度も調査されています。
これによりますと、歯科領域の健康知識の有無も、デンタルIQの高い人と低い人の間に相関関係が示されています。
歯科医院の受診のタイミング
定期健診ではなく、歯科領域でのトラブルを感じたときの歯科受診のタイミングについても調査されました。
デンタルIQが高い人は「すぐ歯科医院に行く」という答えが最も高く、半数以上でした。反対にデンタルIQが低い人では、「放っておく」「しばらく様子を見る」などが高くなっています。
デンタルIQの低い人ほど、我慢できなくなるまで放置する傾向があるようです。
デンタルIQのセルフチェック
デンタルIQのセルフチェック法は、“いい歯は毎日を元気にプロジェクト”で、デンタルIQチェッカーとして公開されています。
デンタルIQチェッカーは、○✕タイプのクイズ方式なので簡単にセルフチェックできます。
【まとめ】デンタルIQって何?日本人の口に関する知識や関心はどの程度?
お口の健康に対する関心度を示す「デンタルIQ」について詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のおさらい
- デンタルIQは、歯科領域の健康に対する「関心・意識の度合い」を指す
- 日本歯科医師会の調査では、デンタルIQが高い人ほど定期検診の受診率が高い
- 意識が高い層は、フロスや歯間ブラシなどのセルフケアを日常的に実践している
- デンタルIQが低いと、歯のトラブルを放置しがちになり、結果として抜歯などのリスクが高まる
- 自分の意識レベルを知るための「デンタルIQチェッカー」などのツールが存在する
「IQ」という言葉から難しい知識が必要だと思われがちですが、大切なのは知識の量ではなく「自分の歯をいかに大切に思っているか」という関心の高さです。デンタルIQを高めることは、単に虫歯を防ぐだけでなく、将来の健康寿命を延ばすことにも直結します。
まずは、ご自身の意識を少しだけ「予防」へ向けることから始めてみませんか。もし自分のデンタルIQが気になった方は、ぜひ紹介したセルフチェックを活用して、今の自分のお口の健康意識を見つめ直してみてください。

